研究概要 |
オルトケイ酸テトラエチル((C_2H_5O)_4Si),オルトチタン酸テトラエチル((C_2H_5O)_4Ti),及びポリジメチルシロキサン(PDMS:[-Si(CH_3)_2O-]_n)を出発原料に,イソプロピルアルコール(C_3H_7OH),テトラヒドロフラン(THF)及び蒸留水(H_2O)を溶媒として用い、これにカルシウム源として硝酸カルシウム(Ca(NO_3)_2)及び触媒として濃塩酸(HCl)を加え,25〜80℃で撹拌しながら還流し、得られた溶液をゲル化させ、得られた複合体を40℃にて乾燥させて試片を得た。いくつかの試片について固体^<29>Si-NMRでSi元素周囲の局所構造を調べた。生体活性評価については、擬似体液を用いたin vitro評価を行い、導入したカルシウムの試片中での分布状態よりもむしろ、ポリジメチルシロキサンモノマーの溶解が、試片表面のアパタイト形成能の有無に影響を及ぼすことがわかった。カルフォルニア大学のグループとの共同研究により合成された複合体は、これまでに報告例のないポリジメチルシロキサンを非常に多く含む組成であり、実際に機械的性質についても柔軟性に富むことがわかった。カルフォルニア大学のグループとの議論により、生体材料として応用するためには、モノマーの溶解度を抑制する還流条件の探索及び試片中に含まれるモノマーの選択的溶解のための非極性溶媒の探索も重要であることが結論された。今後、体液環境下においてアパタイト形成能(骨組織融合能)が発現するような複合体の合成条件を追求していく。
|