研究概要 |
PDMSおよびTEOSを主原料とする組織結合型の有機-無機ハイブリッドの機能向上化を検討し,下記の成果が得られた。(1)TiO_2の複合化:PDMS-SiO_2-TiO_2系ハイブリッドは体液環境下でアパタイトを析出するまでには至らなかった。(2)多孔ORMOSILs:スクロース粒子をポロジェンとして多孔体が合成できた。用いた粒子とほぼ同サイズの孔が形成でき,気孔率は約90%程度であった。また,CaCl_2水溶液処理を施した試料は,擬似体液中で3日以内に表面にアパタイトを析出し良好な細胞適合性を示した。(3)コロイダルシリカ含有ORMOSILs:熱処理を施すと生体活性能を維持したまま圧縮強度および弾性率(-50℃以上)が増加した。これは熱処理によってPDMSとシリカの相互作用が高まったためだと考えられた。 生体適合性が高くかつ体内で分解することが期待されるゼラチンと生体活性発現種であるシラノール基を生成可能なγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPSM)を主成分とした新規組織結合型天然高分子-シリケート系有機-無機複合材料の合成を試み,下記の成果が得られた。(1)ゼラチン-シリケート複合体:反応条件下でGPSMのエポキシ環の開裂反応がおこり,その部分がゼラチン構造中に存在するアミノ酸と相互作用することでGPSMとゼラチンはハイブリッド化していると推察された。(2)Ca^<2+>の導入:試料中にCa^<2+>を導入した試料表面上で擬似体液浸漬3日以内にアパタイトが析出した。(3)ゼラチン-シリケート多孔体:上記湿潤ゲルを溶媒置換して凍結乾燥すると多孔体が得られた。孔径は溶媒のpHや凍結温度に依存し原料組成には依存しなかった。この試料は生体活性評価や細胞適合性試験についても良好な結果が得られた。
|