研究概要 |
1.無鉛半田合金組成の検討結果 (1)現在考えられているSn-Ag,Bi,In,Sb,Zn系2元合金の中では、無害性,コスト,融解温度等からの総合的な判断でSn-Bi系合金が有望である。しかしながら,生産性,特にマイクロ接合等に用いられる細線や薄い箔等を製造できる技術が開発されていない。また、疲労などに対する接合性の問題も未解決である。 (2)北米での調査結果では、日本でも昨年末に既に概要が報告(まてりあ,Vol.38,No.12,698-971,1999年)されたNCMS(National Center for Manufacturing Sciences)のLead-Free Solder Project--Final Report-(1997年)が、現時点では詳細なデータが多く信頼性が高い報告と考えられる。ここでは、A1,A2,A3が有鉛半田、A3からF31まで76種類の無鉛合金が報告され、このうちSn-Bi系を基本組成とするものが23種類と一番多く研究されている。また、この報告書には2004年の鉛全廃規制についても記されているが、現時点では判断は難しいところである。 2.無鉛半田材のOCC及びOSCプロセスによる連続鋳造結果 (1)OCC及びOSCプロセスを用いたSn-20〜80mass%Bi合金の連続鋳造をおこなったところ、いずれの組成の合金でも連続鋳造が可能であった。しかしながら、Bi含有量が増加するに従って熱伝導度が急激に低下するため、鋳造速度を遅くする必要があった。 (2)共晶点近傍の組成では均質な半田材が得られていたが、Bi含有量が多くなると初晶Biが溶湯との比重差により変析しやすくなることが明らかとなった。また、共晶点近傍では比較的塑性加工性や機械的性質の良好な鋳造材となり、細線や箔の素材となる可能性があるが、過共晶側では延性が低下し実用には適さない脆性材料となった。
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