研究課題/領域番号 |
11694175
|
研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
友田 博通 昭和女子大学, 国際文化研究所, 教授 (00155582)
|
研究分担者 |
山田 幸正 東京都立大学, 工学部, 助教授 (10191347)
福川 裕一 千葉大学, 大学院・多様性科学科, 教授 (90156761)
斎藤 英俊 東京国立文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター, センター長 (30271589)
|
キーワード | ベトナム全国 / 民家調査 / 悉皆調査 / 重要文化財指定 / 文化財保存修復 / 研究者育成 / 意見交換会 / ベトナム民家史 |
研究概要 |
ベトナムの伝統住居は、最近の経済発展と生活近代化の影響で消滅の危機に瀕している。そのため、ベトナム文化情報省とベトナムの建築研究者と共同して、年2省、省内全域を対象に保存すべき民家を体系的に探索整理する。第一次調査では村落単位にヒアリングし1〜2件を抽出して訪問調査撮影を行い、第二次調査ではこの約1割を抽出して50分の1の平立断面図作成を中心に詳細調査を実施している。また、研究上はベトナムの民家史を確立することを大きなテーマとし、これに不可欠の研究者間の意見交換会を併せて実施している。 平成13年度は、カンナム省・タインホア省を対象に、第一次調査は合計約750件、第二次調査約75件を調査した。この過程で、多くの重要な民家も再発見された。2000年にJICA開発パートナーに採用され、この調査を受け2002年度にはカンナム省(修復のみ2000年度実施)、タインホア省の文化財修復と重要文化財指定を実施する。また、カンナム省はベトナム建設省建築研究所、タインホア省はハノイ建築大学文化財保存学科が担当、大学に建築文化財保存学科も設立されベトナムに民家研究者が広範に育ってきたと実感している。 意見交換会はカンナム省(ホイアン)とタインホア省(ハノイ)について開催した。カンナム省はホイアンを中心とする北部がフエ省の形式に類似し、タムキを中心とする南部はカンガイ省に類似すること、これは北部がキンボン大工、南部とカンガイ省がバンハ大工の勢力圏で、大工集団の重要性が確認された。 また、タインホア省は、ベトナム北部の重層梁形式と中部の昇り梁形式が共存し、軒下に重層式、主屋内が簡素な昇り梁形式と、半屋外の軒下を重視する傾向が見られた。フエ王宮では、拝殿を重層式、主屋を昇り梁式とする形式と類似し、北部ではほとんど見られない形式で、フエからの影響が考えられる。 3年間でベトナム民家史上重要と考えられる中心的省を取り上げた概ねベトナムの民家史の大筋は明確になった。残された課題は周辺諸国からの影響を国境の両側を調査することにより検討することが重要と言えよう。
|