研究課題
基盤研究(B)
最終年度である平成12年度までに得られた新たな知見は、以下のとおりである。(1)地盤の動的特性の分析・評価を行なうためカラカス市内で約400地点において微動観測を行ない地盤の卓越周期分布を明らかにし、この結果からのゾーニングを行なった。(2)カラカス市内および1997年カリアコ地震の被害発生地域であるカリアコ市、クマナ市において微動アレー観測およびS波速度探査を実施して、地盤構造の解析を行ないS波速度の推定を行なった。(3)カラカス市内およびバルキシメト市において、約90棟の建物を対象として微動観測を実施し、その結果から1次固有周期、減衰定数と建物階数と関係を明らかにした。(4)上記(1)および(4)の結果に基づいて、1967年カラカス地震において発生した多数の建物被害の要因について考察し、被害がカラカス市の地盤構造に起因する地盤と建物の共振現象で説明できることを明らかにした。この結果は、カラカス市の地震災害危険度評価に重要な知見を与えた。また、これらの結果を整理して地図表現を行うため、GISを活用できる環境を整理した。(5)チャカオ地区とサンベルナルディーノ地区の建物の振動特性に関する調査結果により、カラカス市の地震災害危険度評価のが可能となった。(6)平成12年度に実施したワークショップの論文集の取りまとめが完了した。今後は、地震動特性をより精度良く推定するために、(1)詳細な物理探査によるカラカス盆地の3次元的地盤構造の解明、(2)強震観測網の確立と観測データの蓄積による地震動特性の評価、(3)カラカス市に被害を及ぼす可能性があるシナリオ地震の検討、(4)強震観測および非線型地震応答解析手法に基づいた建物の動的挙動特性と耐震性能に関する評価などの研究にたいする展開が必要であろう。
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