研究課題
基盤研究(A)
1)アイデアの実証試験:ニオブ・銅クラッド空洞に特有な問題点を調べるために、ニオブ銅爆着板材をINFN-LNLに送り、スピニング法で空洞を製作し、KEKで空洞性能評価を行った。その結果、残留抵抗比(RRR)100の比較的低純度のニオブ材でも加速電界25MV/mを達成できた。しかし、空洞冷却の際、超伝導臨界温度(9.25K)近傍で空洞に温度差が付くと熱起電力電流がトラップされ、大きな表面抵抗を発生させることが分かった。この問題は、本質的障害ではなく、空洞を一度4.2Kの液体ヘリウムに浸けた後、10Kまで暖め再度冷却することで避けることができる。しかし、将来的には加速器冷凍システム上、複雑な冷却プロッセスになるのでその詳しいメカニズムの解明を行い、解決策を見つける必要がある。2)HIP接合したニオブ・銅クラッド管の液圧バルジ成型:ニオブ銅クラッド素管作りはR&Dが必要であり、必要ニオブ寸法(133φ×0.5t×450l)の電子ビーム溶接管を薄肉銅管と厚肉銅管でサンドイッチしてHIP処理を施し、スエジング加工を加えて、銅パイプで求めた成型条件の下で液圧バルジ加工して空洞を製作した。この実験で、HIP処理したサンドイッチパイプでは、銅の粒界が粗大化し、機械的特性が変わるのでこれまでの条件が十分でないことが分かった。スエジングしろを少し短くして、赤道部の材料押し込み量を長くする(5mm)ことでこの問題が解決され、2本のパイプでシームレス空洞の成型に成功した。3)スピニングニオブバルク空洞の性能試験:INFN-LNLでスピニング法で製作したニオブバルク空洞に化学研磨(Jlab)、電解研磨(KEK)を行いジェファソンラボで性能試験を行い、シームレス空洞での高性能性が確保されるかどうかを調べる試験を行い、どちらの研磨方法でも30MV/mの高電界が得られることが確認された。
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