研究課題/領域番号 |
11694182
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
斎藤 健治 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教授 (10178478)
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研究分担者 |
加古 永治 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助手 (60204351)
小野 正明 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教授 (50160916)
野口 修一 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (80156182)
人見 宣輝 高エネルギー加速器研究機構, 共通研究施設, 教授 (30300669)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 高周波空洞 / 超伝導空洞 / 複合材料 / HIP処理 / 液圧バルジ成形 / ニオブ / シームレス空洞 / スピニング成形 |
研究概要 |
次世代の高エネルギー物理の研究のために重心衝突エネルギー500GeV〜1TeVの電子・陽電子衝突型リニアーコライダーが必要である。その加速器として超伝導高周波加速空洞を用いた超伝導リニアーコライダー(TESLA計画:TeV Energy Superconducting Linear Accelerator)がドイツ・DESY研究所を中心に国際共同研究されている。TESLAを実現するには(1)25MV/m以上の加速電界を発生可能な高電界超伝導空洞を開発すること、(2)その高電界超伝導空洞を低コストで製作する、この二つが加速器主要部の中心課題である。これまで、我々はトリスタン超伝導空洞で開発した技術をベースに基礎研究を継続し、KEKオリジナルな表面処理技術:横型回転式連続電解研磨が高電界を発するのに非常に有効な手段であることを突止め、理論的限界である40MV/mの高電界超伝導空洞を開発することに成功した。 本研究課題は、こうした研究成果を背景に、第2の研究課題である製作コスト削減を研究対象にする。本研究では、空洞に使用する高価なニオブ材の削減と空洞製作で現在使われている煩雑・高価な電子ビーム溶接を省くために、薄肉のニオブパイプに厚肉の銅パイプを張付けたクラッドパイプを液圧成型で膨らませてシームレス空洞を製作する技術を開発する。本研究課題の研究成果は次のようにまとめられる。(1)大規模な加速器建設計画に対処するために高性能で且つ低コストの超伝導高周波加速空洞の製作法として、ニオブと銅のクラッド・シームス空洞の製作を提案し、(2)その製作・性能原理実証研究をイタリアINFN-LNL研究所、ドイツDESY研究所、米国TJNAF研究所との国際共同研究をベースに行った。そして我々の提案するニオブ/銅・クラッド・シームレス空洞で理論的限界である40MV/mの高電界性を達し得ることを示した。(3)クラッド材のニオブ厚が1mm程度であれば、従来言われていたバイメタル効果によるクエンチの後のQ値の劣化が小さく、十分実用に耐え得ることを検証した。(4)次に、TESLA計画のような量産に向けて長尺クラッド管の製作法として、HIP接合によるCu/Nb/Cuサンドイッチ構造のクラッド管に従来のパイプ引抜き法を応用すること提案し、(5)その試作を行い、長尺クラッドパイプの試作に成功した。また、従来、製作経験のなかった爆着クラッド管の試作にも成功した。(6)そして、空洞液圧成型技術を独自開発して、試作したクラッド管の空洞成型性を実証した。(7)これらの試作研究の経験から実用機の9セル空洞の製作コストを見積り、溶接構造の従来法に比べて、ニオブバルク空洞ではその約1/3のコストで製作できることを試算した。
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