研究課題/領域番号 |
11694184
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京国立文化財研究所 |
研究代表者 |
石崎 武志 東京国立文化財研究所, 保存科学部・物理研究室, 室長 (80212877)
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研究分担者 |
溝口 勝 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00181917)
朽津 信明 東京国立文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター, 主任研究員 (50234456)
三浦 定俊 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 部長 (50099925)
登尾 浩助 岩手大学, 農学部, 講師 (60311544)
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キーワード | 石造文化財 / レンガ建造物 / 塩類風化 / 水分分布 / TDR含水率測定装置 / 有限要素法 |
研究概要 |
1.本年度は、タイ、アユタヤのレンガ建造物、スコータイのレンガ造で表面層を漆喰仕上げしている大仏中の水分分布、水分移動状況を降水量、可能条発散量、地下水位などのデータを基に、計算した。これらの、計算結果と、TDR水分量測定装置を用いた材料表面近くの水分量の測定結果と比較したところ、良い対応が見られた。また、計算結果から、乾季の始まりに表面近くの水分蒸発量の大きい部分と、観測結果による塩類風化の顕著な部分とは、対応が見られた。また、スコータイのレンガ造大仏に関しても同様の水分移動に関するシミュレーションを行った。計算は、大仏表面に撥水強化処理を施す前と撥水強化処理を施した後の条件で行った。撥水強化処理前では、雨季に水分の浸透が見られ、撥水強化処理後は、雨季でも、大仏中の水分の極端な上昇が見られなかった。これは、TDR表面含水率の測定結果と良い対応が見られた。また、大仏中の水分分布、水分移動に寄与する水は、主として降水から供給されていて、地下水の毛管上昇による寄与が小さいことが分かった。これらの、研究成果は、米国ソルトレークシティーで開催された米国土壌物理学会(ASA)で発表した。また、保存科学38号、39号で報告した。 2.本研究課題に関して、Deterioration of stone monuments, historical tombs, cave sites, and brick buildings and protective measuresというシンポジウムを開催した。研究分担者の、独国、ドレスデン工科大学のハウプル教授は、ドイツの歴史的建造物中の劣化と保存対策手法に関する研究成果を発表した。また、同大学のグルネワルド研究員は、保存対策手法を構築する上で重要である、建築材料中の水分、熱移動に関するシミュレーションプログラムの開発について講演を行った。また、韓国の徐教授は、韓国の古墳の保存に関して、また、フランスの歴史記念物研究所のブリュネ研究員は、フランスの先史時代の壁画保存に関する研究発表を行い、研究者間で情報交換を行い、報告書を作成した。
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