大出力小型固体レーザーによる広帯域赤外光発生に関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11694186
• 研究機関: 岡崎国立共同研究機構
• 研究代表者: 平等 拓範 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (50216595)
• 研究分担者: NICOLAIE Pavel 日本学術振興会, 外国人特別研究員 ; 庄司 一郎 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 非常勤研究員 ; 栗村 直 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (10287964)
• キーワード: LD励起固体レーザー / Yb:YAGレーザー / マイクロチップレーザー / 超短パルスレーザー / 擬似位相整合 / シミュレーション / MgO:LiNbO_3 / 全固体レーザー

研究概要

本研究では、多機能擬似位相整合非線形波長変換素子を併用した次世代の超短パルスモードロックレーザーシステムによる、時間的、スペクトル的に制御された広帯域赤外光源の開発指針を見出すことを目指す。平成12年度は、高出力Yb:YAGモードロックレーザーの設計と、擬似位相整合(QPM)法による多機能非線形光学波長変換デバイスの可能性等の基礎的検討を行った。
(1)前年度の成果をもとに再生増幅器応用を目指した高出力Yb:YAGマイクロチップレーザーの設計を進めた。励起分布とそれに伴う発熱の空間分布、熱歪みと波面に与える影響などをシミュレーションできるプログラムを開発し、cw100W級の出力の可能なマイクロチップレーザーの指針を得た。
(2)広帯域波長変換用素子としてのQPM素子の性能向上を目指し材料面からの検討を行った。紫外域などの短波長域では水晶、可視(青色)から近赤外領域まではMgO:LN、中赤外領域では化合物半導体であるGaAsなどが適しているとの結論を得た。
(3)Byerグループでは、高出力Yb:YAGレーザーの建設を進めているが励起用の半導体レーザーに関するトラブルのため若干の遅れをきたしている。そのため本年度は長期滞在はせずに定期的な訪問、討論を続けた。平成13年度には研究をまとめるために再度長期滞在することを計画している。
その他、平等グループ及びByerグループ間で研究者を派遣、招聘し意見交換を行いながら共同で作業を進めてきた。さらに分子研側ではProf.Byerを招聘、それに伴い研究会を開催し、高機能全固体レーザーについて討論を行った。(添付参考資料)

研究成果

• [文献書誌] J.Saikawa,T.Taira and et al.: "Yb:YAG based tunable green microchip laser for wavelength-multiplexed volume holography"Advanced Solid-State Lasers 2000,MBI. 435-442 (2000)
• [文献書誌] J.Saikawa,T.Taira and et al.: "Performance of widely tunable Yb:YAG microchip lasers"OSA TOPS on Advanced Solid-State Lasers. 34. 106-111 (2000)
• [文献書誌] T.Taira: "Tunable Yb:YAG microchip lasers"The 2nd International Symposium on Laser, Scintillator and Nonlinear Optical Materials. (2000)
• [文献書誌] J.Saikawa,T.Taira et al.: "Wavelength-multiplexed holographic recording in Fe:LiNbO_3 with a tunable Yb:YAG green laser"The 1st Asian Conference on Crystal Growth and Crystal Technology, WP-1. 168-169 (2000)
• [文献書誌] I.Shoji,T.Taira et al.: "Thermal birefringence in a ceramic Nd:YAG laser"電気学会研究会資料、光・量子デバイス研究会. OQD-00-51. 29-34 (2000)
• [文献書誌] Robert L.Byer: "Solid state lasers and nonlinear tunable sources : 2000"電気学会研究会資料、光・量子デバイス研究会. OQD-00-52. 35 (2000)