植物細胞の分化と増殖特性に関する共同研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11694196
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 高橋 秀夫 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (90013333)
• 研究分担者: 田村 勝徳 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (90291335)
• キーワード: 高等植物 / AtTERT遺伝子 / テロメラーゼ活性 / 核コードプラスチドの因子 / テロメラーゼ活性阻害 / DNAのメチル化

研究概要

(1)シロイヌナズナ、タバコにおける核コードプラスチドシグマ因子これらの遺伝子の制御領域とリポーター遺伝子との融合遺伝子を用いて発現を調べたところ、種子からの発芽期にはsigBが先に次いでsigAの発現が起こることが分かった。
(2)シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)及びイネ(Oryza sativa)のテロメラーゼ触媒サブユニットのcDNAクローンを取得し、塩基配列の決定、in situ hybridization法による発現時期と組織・器官の特定を行った。また、Agrobacterium tumefaciensの感染によって誘導されるクラウンゴール(癌腫)におけるテロメラーゼ(AtTERT遺伝子)の発現について解析を行った。
(3)植物のテロメラーゼ活性は、細胞周期によって厳密な制御を受けている。この制御と関係していると考えられるテロメラーゼ特異的な40kDの阻害蛋白質を同定した。(チェコの研究グループ)。
(4)植物のDNAのメチル化と遺伝子発現の制御との関係について解析を進めた。花粉形成期おける特定性染色体遺伝子の発現と染色体DNAのメチル化、ヒストンのアセチル化についての解析を進めた。発現期には特定遺伝子のDNA塩基(シトシン)の脱メチル化とヒストンのアセチル化とが関連して起こることを明らかにした。(チェコの研究グループ)。

研究成果

• [文献書誌] Fajiwara,M. et al.: "Three nuclear genes sigD.sigE and sigF, encoding putative plastid RNA polymerase sigma factors"FEBS Lett.. 141. 47-52 (2000)
• [文献書誌] Kanamaru K. et al.: "Chloroplast targeting. Distribution and transcriptional function of AtMinD1"Plant Cell Physiol. 41(10). 1119-1128 (2000)
• [文献書誌] Shirauo,Y et al.: "Role of a nuclear gene-encoding sigma facor for plastid RNA polymerase in chloroplast differentiation"FEBS Lett. 485. 178-182 (2000)
• [文献書誌] Oikawa,K.et al: "Characterization of two plastid or factors, sigA1 and sigA2, that mainly function in matured protoplasts"Gene. 261. 221-228 (2000)
• [文献書誌] Fulneckora,J. et al.: "Inhibition of plant telomerase by telomere-binding from nuclei of telomerase-negative cells"FEBS Lett. 467(2-3). 305-310 (2000)
• [文献書誌] Rihaketal.: "Analysis of the G-overhang structures on plant telomeres : evidence for two distinct tetomere architecture."Plant J.. 23(5). 633-641 (2000)