研究概要 |
今回,急遽,ヒト脳由来のCLN2酵素[著者らが細菌より発見したペプスタチン非感受性カルボキシルプロテアーゼ;PCP,XCP,J-4,Kumamolysinと一次構造上類似]がコーネル大学のグループより,入手可能となった。本年度,以下の成果を得た。 1.CLN2(ヒト脳)酵素の基質特異性,及び,サブサイト構造の解析 予備的検討により,本酵素がトリペプチジルアミノペプチターゼ活性を有することを確認した。これより,CLN2は細菌由来のCPとかなり異なるサプサイト構造を有することが明かとなった。 2.クマモリシンのサブサイト構造解析 77種の新世代合成基質を使用して解析を行い,(1)S_2サブサイトは,極めて狭く,選択性が高いこと(2)S_2サブサイトは,アスパラギン酸プロテアーゼと異なり,親水性アミノ酸で構成されている,などが明かとなった。(2)は,他の細菌由来CPにも認められ,細菌由来CP全体の特徴と判明した。 3.CLN2用合成基質のデザインと合成 1.の結果を基に新世代合成基質をデザイン・合成し,本酵素の基質特異性,及び,サブサイト構造の解析中である。これら高感度基質は,本酵素の生理的役割解析に極めて重要である。 4.動物細胞を対象に新規CPの検索 新規CPは,CLN2酵素を除いて全て微生物由来である。動物細胞を対象に同様なCPの検索中である。以上の成果は,この致死病の解析や治療薬の開発に貢献する。また,これら酵素進化の考察を可能にする。
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