研究概要 |
ペプスタチン非感受性CPのうち、Pseudomonas sp.101CP(PCP),Xanthomonas sp.CP(XCP),Bacillus coagulans CP(J-4),Bacillus novosp.MN-32(kumamolysin)とヒト起源のCLN2を対象として一連の研究を行い、以下の成果を得た。 1.一次構造 J-4酵素遺伝子のクローニングに成功した。これで全ての一次構造が判明した。 2.サブサイト構造 Kumamolysinの基質特異性を解析した。本酵素のS2サブサイトは極めて狭いこと、また、32'サブサイトは、他の細菌由来ペプスタチン非感受性CPと同様、親水性のアミノ酸残基で構成されていることが明らかとなった。 3.触媒残基 CLN2と4種の細菌由来のCPについてそれらの触媒残基、特にSer残基の関与について、部位特異的改変体を作成し検討した。その結果、若干の問題を残すものの、これらCPの触媒残基はAsp,Glu,Serで構成されていると結論した。 4.立体構造 PCPの立体構造を明らかにすることができた(Nature Structural Biology2001年5月掲載予定)。(1)PCPの立体構造は、基本的にセリンプロテアーゼであるサブチリシンBPN'と類似すること、(2)触媒残基は、Asp84,Glu80,Ser287で構成されていること等が示された。Ser残基を触媒残基とするCPの報告は無く、これらのCPは,全く新しいタイプのプロテアーゼであることが構造的にも明らかとなった。著者らは、このプロテアーゼ群を第5番目のプロテアーゼ群と位置づけ、これをセリンーカルボキシルプロテアーゼと命名した。 平成12年11月10日京都工芸繊維大学において"KIT International Conference on Proteinases and Their Inhibitors"と題して国際会議を開催した。
|