研究概要 |
細胞分化をすすめる転写制御因子は多数が知られているが、その中でもSOX因子群は、細胞分化の決定に中心的な役割を果たしていると考えられる。SOXファミリー因子の作用機構と、それによる細胞分化の制御を詳らかにすることを目標として研究した。現在20数種類が知られているSOX因子は、そのアミノ酸配列の類似性から、AからGまでのグループに分類されている。いずれのSOX因子もHMGドメインによって、DNAのAACAA(A/T)配列に結合しながら、制御標的遺伝子も、制御する細胞分化のレパートリーもグループ毎に異なる。B及びEグループのSOX因子の作用の比較の結果、グループ毎に特異的な作用は、SOX因子が単独では何ら活性を示し得ず、それが結合した領域のの近傍に結合したパートナー因子との共同作用によってはじめて制御活性(転写活性化)を示すことに由来していることが明らかになった。SOXやパートナー因子の発現の変化に連動して、SOXの制御下にある遺伝子のセットが劇的に切り替わることが細胞分化の重要な制御機構の1つであると考えられる。 本年度は、特にニワトリB-グループのなかに見い出されたSox14,Sox21が転写抑制活性を持ち、B1サブグループとして取り扱われるべきものであること、これらがzebrafishでも保存されていることを示し、またLovell-Badge,Episkopouのグループが単離したヒト及びマウスのB1サブグループとの機構及び発現を比較し、発現領域が概ね保存されていることを確認したので、ノックアウトマウス作製の検討を行った。
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