研究概要 |
天然から選抜したダイオキシン分解菌の細胞融合による融合菌の作出を行うとともに、選抜したダイオキシン分解菌を用いたバイオレメディエーションによるダイオキシン類の分解について検討した。また、選抜した菌を用いたバイオレメディエーションによるダイオキシン汚染土壌、焼却灰の浄化についても検討した。さらに、選抜菌を用いるバイオレメディエーション法を応用し、水系のダイオキシン類の分解についても検討した。 1 選抜した菌の細胞融合による分解能の高い融合菌の作出 天然から選抜した3種のダイオキシン分解菌を用いて、電気融合法およびPEG法により細胞融合を行い、8種の融合菌を得た。融合菌のアイソザイム分析により、両親株からの融合菌であることを確認した。融合菌は色素培地で脱色を示した。ダイオキシン分解能並びに、ダイオキシン分解に関与する酵素活性が両親株のそれらよりも優れた融合菌を作出(1種)することができた。 2 選抜した菌を用いたバイオレメディエーションによるダイオキシン類の分解 選抜した菌を用いたバイオレメディエーションにより、土壌中の2,3,7,8-TCDDを約28〜52%、OCDDを約40%分解できることを見出した。 3 選抜した菌を用いたバイオレメディエーションによる汚染土壌中のダイオキシン類の分解 選抜したダイオキシン分解菌を用いた汚染土壌(約1300pg-TQE/g)のバイオレメディエーションにより、30日間の処理で約70%ダイオキシン類が分解浄化できることを見出した。この処理時に一種の界面活性剤を添加する分解率は更に約10%向上することも見出した。また、この方法をダイオキシン類を高濃度に含む焼却灰に適応した。その結果、菌添加量が多い場合はほぼ完全にダイオキシン類を分解浄化できることを見出した。更に、水系のダイオキシン類の分解を目指して、まず始めに水系のダイオキシン類を活性炭に吸着させ。その後、これを土壌に混合しこれを菌を用いるバイオレメディエーション法で処理すると、約7割のダイオキシン類が分解できることを見出した。 以上の結果から、このバイオレメディエーション法を用いることにより、汚染土壌、焼却灰、水系のダイオキシン類が効率的に分解,浄化できるものと考えられた。
|