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2001 年度 実績報告書

線虫の温度感覚機構の構造生物学・分子生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 11694215
研究機関九州大学

研究代表者

大島 靖美  九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90037606)

キーワード線虫C.elegans / 温度走性 / 温度感覚 / 運動の解析 / ttx-3遺伝子 / AFDニューロン
研究概要

薄い寒天平板上に、以前より急(1.4℃/cm)で、巾が広く(9℃〜29℃)、再現性のよい直線状の温度勾配を作成した。この上に、運動性を損なわないように注意して扱い、またエサの大腸菌を除いたC.elegans成虫の集団(30〜100匹)をおき、1時間後の分布域及びこの間の個々の虫の移動を調べた。その結果、野生型線虫は約10℃の広い温度域に分布した。この分布域は飼育温度に依存する(15℃→9℃-19℃、20℃→13℃-23℃、25℃→15℃-25℃)が、虫を置く場所にはほぼ無関係であった。また、分布域の中においては、勾配上のどちらの方向にも平均して、同じ頻度で移動した。しかし、分布域よりも高温側に置くと、低温方向に移動した。飢餓状態に虫を置くと分布は変化したが、飢餓に置いた温度を避けることは無かった。これらの結果は、以前のエサと連関して飼育温度付近のせまい温度範囲に集まり、飢餓温度を避けるという推測とは大きく異なり、他方高温の忌避がはっきり示された。これらの結果はC.elegansの"温度走性"が高温感覚と低温感覚のバランスによって制御されているという従来のモデルよりも、高温感覚のみによって基本的に規定されるという新しいモデルを示唆する。低温分布の限界は、運動性の減少によって説明できる可能性がある。
ttx-3,tax-2,tax-4,egl-4変異株では上記の温度に対する反応は異常であり、これらの遺伝子が高温忌避に関与することが示唆された。主要温度感覚ニューロンであると考えられてきたAFDのレーザーによる選択的殺傷や、tax-4遺伝子のtax-4変異株での細胞特異的発現を行った結果、高温忌避においてAFDが重要でないこと、AFDでのtax-4の発現が不要であることが示された。これら遺伝子の発現部位については、egl-4プロモーターとGFPの融合遺伝子について共焦点顕微鏡で詳細に解析した。

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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