研究課題/領域番号 |
11694223
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
日高 道雄 琉球大学, 理学部, 教授 (00128498)
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研究分担者 |
酒井 一彦 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教授 (50153838)
廣瀬 裕一 琉球大学, 理学部, 助教授 (30241772)
土屋 誠 琉球大学, 理学部, 教授 (40108460)
中島 裕美子 琉球大学, 遺伝子実験施設, 助手 (70244340)
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キーワード | サンゴ / 褐虫藻 / 共生 / rRNA / ITS / 初期発生 / ホヤ / プロクロロン |
研究概要 |
卵母細胞の時期に母親群体より褐虫藻を受け継ぐサンゴ4種(ハナヤサイサンゴ属2種、ハマサンゴ属1種、コモンサンゴ属1種)について、褐虫藻が発生の過程で胃層細胞に限定される時期と機構に着目して、発生過程を記載した。褐虫藻が胃層に局在するようになる時期と機構は、これら3属間で異なっていた。これら3属が、褐虫藻の垂直伝播という形質を独自に獲得した可能性が示唆される。 沖縄、ハワイ、タイ産のサンゴに共生する褐虫藻の系統を、褐虫藻の獲得様式(垂直伝播と水平伝播)に着目して解析した。rRNA遺伝子のITS領域の塩基配列に基づき、系統樹を作成した結果、今回調べた褐虫藻は大きく2グループに分かれた。毎世代外界より褐虫藻を獲得する水平伝播型のサンゴでは、褐虫藻は宿主特異性を示さず、地域特異性を示した。垂直感染により親から褐虫藻を獲得する垂直伝播型のサンゴにおいても、ある場合には褐虫藻が地域特異性を示すことから、母親由来の褐虫藻を持つサンゴも新たに褐虫藻を外界から獲得する可能性が示唆された。 サンゴの大きさが卵と精巣の生産比率に及ぼす影響を検討する野外実験の結果、理論的予測と逆の結果が得られた。この結果から、サンゴ間の距離と遺伝的な同一性の組み合わせが、卵と精巣の生産比率に影響を及ぼすという仮説を立て、この仮説を検討する野外実験をハワイで開始した。 熱帯性ホヤDiplosoma virensの群体内では、多数のプロクロロン(原核緑藻)が共生している一方で、ホヤノシラミの仲間(カイアシ類)がしばしば寄生している。胃内容の組織学的研究から、プロクロロンが捕食を抑制する毒性を持ち、ホヤ群体がプロクロロンを保持することで捕食忌避のメリットを受けている可能性が示唆された。
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