研究概要 |
本研究は受精前後のマウス胚に発現される遺伝子として単離した新規のSSEC(Stage Specific Embryonic Clone)-D遺伝子のRNA鎖長が、受精後1細胞後期に、おそらくは3'末端へのpolyAの付加(300ntds)によって一過性に伸長するというまったく新しい現象を見い出したことによる。そのメカニズムと生物学的意義を知るために以下の計画に沿って研究した。 1.SSEC-D RNAの3'末端の構造解明. RNA ligaseとPCRを組み合わせた方法により,SSEC-D RNA伸長の構造学的解析を試み、ほぼアデニン鎖の伸長であることが明らかとなった。 2.SSEC-D RNAの伸長とその動態解析. αアマニチンやアフィディコリンの添加では伸長現象に変化はなく、シクロヘキシミドの添加により伸長が阻害されることから、伸長には新たなタンパク質合成が必要であることが明らかとなった。 3.種々の発生時期に注入したRNAの動態解析. 今年度はそのコンストラクトの作成に終始した。 4.高感度RNA検出技術の開発. 現在,Northen BlottingおよびRNase Protectionの方法で10-20個の少数の卵または胚を用いたRNA解析系を確立し、さらに高感度技術の開発に取り組んだ。
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