研究概要 |
i)ショウジョウバエ幼生の神経細胞培養 受精後3-4時間の卵を集め、次亜塩素酸で殺菌する。ガラスのピペットを用いて卵の内容を吸い出し、ウシ胎仔血清とインシュリンを加えたシュナイダー液の中に移す。数日後には神経細胞は突起を伸展し、お互いに接触する。現在筋細胞との共培養を行っている。 ii)ショウジョウバエ突然変異体、shibire、におけるシナプス小胞プールの大きさ、動因の速さ、とリサイクリング ショウジョウバエ3齢幼虫の神経筋接合においては、Readily Releasable Pool(RRP)とReserve Pool(RP)があることを我々は報告した。今回は温度感受性突然変異体、shibire、を用いてこれらのプールの大きさを測定した。Shibireにおいては高温ではエンドサイトーシスがとまるために、神経を連続刺激するとシナプス小胞が完全に枯渇することが知られている。したがってこの方法によりシナプス小胞の総数がわかる。ほぼ84,000個のシナプス小胞があることがわかった。次にcytochalasinDはRPからの小胞動員を抑制することを我々は以前に見つけてあることから、この薬を用いた後に出てくるシナプス小胞の数を数えるとRRPの小胞数となる。この方法によりRRPにはシナプス小胞の総数の14%-19%があることがわかった。また室温において連続刺激を続けるとリサイクリングによるエンドサイトーシスとエクソサイトーシスがつり合い、シナプス電流の振幅が一定になる。このことからリサイクリングは毎秒1000個であることがわかった。
|