本研究の目的は、第一に、我々が新たに同定した3種類のリポ蛋白受容体遺伝子の生体における受容体機能と生物学的および病理学的意義を、モデル動物を用い、細胞生物学的さらに遺伝学的手法を用いて明らかにすることである。 3種類のリポ蛋白受容体遺伝子の中で、LR11の受容体機能に、LR11cDNAを卵細胞に導入するとともに、発育固体の選択に成功し、正常出生が可能であることを確認した。その発育は現在解析中であるが、明らかな障害は認められていない。またこれと同時に、LR11特異抗体の作成のためにGST-LR11ドメインII蛋白の作成に成功し、モノクローナル抗体作成に成功した。 また、LR11の動脈硬化における受容体機能の意義に関して、血管平滑筋培養細胞を用いて本受容体の発現亢進が遊走機能と密接に関連することが示され、受容体発現調節が動脈硬化進展抑制に結びつくことが明らかになった。 また、他の遺伝子LR32のcDNAクローニングを全長終了し、その組織発現を明らかにしたところ、筋肉および脳に局在していることが明らかになり、今後の機能解析へと確実な進展となった。 これらの研究実績は当初の研究計画のほぼ100%に相当するものであり、リポ蛋白受容体遺伝子の多機能性を提示するとともに、その生物学的意義を明らかにし、今後のリポ蛋白受容体研究に多大な貢献をしたと考えられる。
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