研究課題/領域番号 |
11694249
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堅田 利明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10088859)
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研究分担者 |
紺谷 圏二 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30302615)
星野 真一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (40219168)
仁科 博史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (60212122)
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キーワード | リンパ球 / CD38 / エクト型酵素 / NADアーゼ / レチノイン酸 / PC-1 / ホスホジエステラーゼ |
研究概要 |
先に申請者の研究グループは、レチノイン酸によるヒトHL-60細胞の好中球への文化過程でエクト型NAD分解酵素(NADase)が細胞表層に誘導され、この酸素活性がリンパ球表面抗原のCD38によることを明らかにした。本研究では、細胞表層上の新しい機能分子と期待されるCD38、及びその関連分子でホスホジエステラーゼ活性をもつPC-1につき、細胞内シグナル伝達機構、酸素化学的特性、転写制御機構などを検討し、以下の知見を得た。1.CD38はNAD以外に、ニコチンアミドを有するNMNなどの多様な化合物のN-グリコシド結合を切断することが示された。2.共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察から、ラットアストロサイトの細胞表層のCD38は、酵素反応の進行にともない何らかの化学修飾を受けて不活性化されることが明らかにされた。3.構造上CD38に類似したPC-1は、mRNAの翻訳産物から異なるプロセッシングによって、膜貫通型および分泌型酵素が産生する可能性が示された。4.PC-1のホスホジエステラーゼ活性を指標に、相互作用する因子を検索した結果、PC-1の酵素活性は細胞外マトリックスの添加により抑制された。5.PC-1のホスホジエステラーゼ活性を抑制する細胞外マトリックス成分の一部は、ヘパリン、ヘパラン硫酸と同定され、ヘパリンは直接PC-1分子と結合することが示された。6.またヘパリンによる酵素活性の抑制はPC-1の基質と競合することから、PC-1はヌクレオチド以外に細胞外マトリックスの構成成分を基質とする可能性が示された。すなわち、エクト型酵素が、細胞外マトリックスへの接着分子として機能する可能性が考えられた。
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