研究課題/領域番号 |
11694250
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平井 久丸 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90181130)
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研究分担者 |
黒川 峰生 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80312320)
小川 誠司 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60292900)
千葉 滋 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60212049)
高橋 強志 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
高橋 宗春 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30313125)
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キーワード | Cas / CIZ / 細胞接着 / 細胞骨格 / マトリックス・メタロプロテアーゼ / アクチン / 心筋線維 |
研究概要 |
p130Cas(以下Cas)は、N末にSH3領域、続いて基質領域(Substrate Domain)、セリン豊富領域、Src結合領域、ヘリックスターンヘリックス領域からなっており、さまざまなシグナル分子を結合するドッキング蛋白質の一つである。Casのノックアウトマウスを用いた解析により、Casの機能はアクチンの調節であり、心筋線維構造の形成に必須であることを示した。我々はCas下流のシグナル伝達系を明らかにする目的で、Far Westernを用いてCasのSH3領域に結合する蛋白質の探索を行った。CasのSH3領域に会合する新規なZinc finger型蛋白質のcDNAの単離に成功し、CIZと命名した。CIZはロイシンジッパー、セリン・スレオニン豊富領域、プロリン豊富領域、Kruppel型Zinc fingerなどの機能ドメインを有する蛋白質であった。CIZはcytoplasmic-noclcar shuttling proteinであり、核へ移行してマトリックス・メタロプロテアーゼ(MMP)遺伝子群のプロモーター領域に共通に存在する特定の塩基配列に結合して、転写に関与することを見出した。CIZを細胞に過剰発現させることにより、MMP-1,MMP-3(stromelysin),MMP-7(matrilysin)の発現が上昇し、これはCasの共存により増強された。以上より、Cas蛋白質は細胞接着や細胞骨格と核内転写制御をつなぐ重要な役割を持つことが推測される。MMPは癌細胞の転移・浸潤に大きく関与することが知られており、癌細胞の転移・浸潤にCasやCIZが関与している可能性が考えられる。
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