研究課題/領域番号 |
11694250
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細胞生物学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平井 久丸 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90181130)
|
研究分担者 |
黒川 峰夫 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80312320)
小川 誠司 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60292900)
千葉 滋 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60212049)
高橋 強志 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
高橋 宗春 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30313125)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
キーワード | Cas / CIZ / 細胞接着 / 細胞骨格 / マトリックス・メタロプロテアーゼ / アクチン / 心筋線維 |
研究概要 |
Casの個体形成における役割を解析する目的でCasのノックアウトマウスを作成した。Casのノックアウトマウスは胎性期11.5から12.5日で著明なうっ血と成長障害を来して死亡した。病理学的解析では心臓の低形成及び全身の血管の拡張が認められたが、これは同時期の正常個体におけるCasの組織分布にほぼ一致した。電子顕微鏡による解析ではCasのノックアウトマウスの心筋細胞において筋線維およびZバンドの形成不全が認められた。またCasのノックアウトマウスの胎児から樹立した線維芽細胞においてアクチン線維の構造異常が認められ、この異常はCasの再導入により正常化した。以上の結果は、Casの生物学的作用はアクチン線維の束状形成であり、Casを欠いたマウスは心筋および血管平滑筋の収縮機能不全によりうっ血および全身の循環不全を来して死亡すると考えられた。以上の結果より、Casは細胞骨格形成に重要であることが示された。また、我々はCasのSH3領域に会合する新規なZinc finger型蛋白質のcDNAの単離に成功し、CIZと命名した。CIZはcytoplasmic-noclear shuttling proteinであり、核へ移行してマトリックス・メタロプロテアーゼ(MMP)遺伝子群のプロモーター領域に共通に存在する特定の塩基配列に結合して、転写に関与することを見出した。この結果から、Cas蛋白質は細胞接着と核内転写制御をつなぐ重要な役割を持つことが推測される。MMPは癌細胞の転移・浸潤に大きく関与することが知られており、癌細胞の転移・浸潤にCasやCIZが関与していると考えられる。
|