(1)CPI-17によるミオシンホスファターゼ活性制御の解析 CPI-17は、Cキナーゼのリン酸化によりミオシンホスファターゼ(MP)に対して阻害活性を示す平滑筋特異的蛋白質である。Rhoの標的蛋白質であるRhoキナーゼならびにPKNが、Cキナーゼと同様にCPI-17のThr^<38>をリン酸化し、MPに対して阻害活性をしめる活性型にCPI-17を変換させることがin vitroで明らかになり、RhoキナーゼはCPI-17のリン酸化を介してMP活性を阻害している可能性が示唆された。 (2)ヒトMYPT1遺伝子発現の制御機構の解明 ヒトMYPT1のゲノム遺伝子をクローニングし、508bpのエキソン1を含む5′側約5.2kbの全シークエンス解析を行った。転写開始点(+1)は翻訳開始点の上流268bpに位置し、5′側上流領域はGC-rich配列で-58〜-64bpの領域にGGGCGG配列(GC box)を認めた。プロモーター領域としては、-81〜+44bpのSp-1結合配列を含むGC-rich領域と考えられ、この領域にSp-1が結合することが明らかになった。以上よりヒトMYPT1ゲノム遺伝子はハウスキーピング遺伝子と考えられた。 (3)MYPT1のノックアウトマウスならびにトランスジェニックマウスの作製 MYPT1のノックアウト(KO)マウスは、現在へテロマウスが誕生している。ヘテロマウスにおいては明らかなフェノタイプ異常は認められていない。MYPT1トランスジェニック(TG)マウスにおいては、FOが誕生した。今後、KOマウスに関してはホモマウスの作製、TGマウスにおいてはF1を誕生させ、フェノタイプの検討を行う予定である。
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