無〔小〕眼球症ラットANOPHはインドの国立細胞分子生物学研究所(ハイデラバード)のDr.Harinarayana Raoにより発見、育成されたモデルラットである。先天的に一側あるいは両側の眼球を欠損し、眼球形成のマスター遺伝子の欠陥が疑われる。本研究はこのモデルの遺伝様式を確立するとともに、責任遺伝子のマッピングを目的として国際学術研究として着手された。この二年間に当方から一度インドを訪問し、インドからは二度の訪問を受け研究データのすりあわせ、討論を行った。インドではラットの輸出が禁止されているため、インド側で(ANOPH x F344)F1 x F344の交配実験と表現型の検索を行い、我々が遺伝子マッピングを担当した。F344への戻し交配を行ったのはF1で20%の発病をみたためである。この解析の結果、第10染色体に有意な連鎖を認めた。しかし、この系の遺伝解析は非常に複雑かつ困難である。その理由は透率が低く、交配のパートナーを返ると発生率が動き、強力なモディファイアー遺伝子の存在が考えられることである。本格的な遺伝解析にはまだ相当の努力が必要と思われた。
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