研究概要 |
Tabbyマウスは、ヒトの無汗型外胚葉異形成症(EDA)のモデルマウスであり、1952年にこの系統が分離されて以来、長らくその実体は不明であった。1996年にEDAの原因遺伝子(EDA)、1997年にTabbyの原因遺伝子(Ta)が相次いでクローニングされ、やっとEDA/Ta分子の機能を解明できる状況になった。そこで、前年度から継続して、次のような実験研究を行った。 1.関連分子の探索:歯胚発生に関与すると思われる因子は現在多数あるが、EGF-R,b-catenin,E-cadherinなどの遺伝子発現やタンパク質発現の相違の有無について、正常マウスとTabbyマウスを比較検討した。 2.機能阻害実験:Ta遺伝子の翻訳を特異的に阻害できるアンチセンス・オリゴデオキシヌクレオチド(AS-ODN)を設計し、Trowell法による歯胚の器官培養の培地に与えてin vitroの実験系を組み立てた。 さらに、2000年9月末には、Irma Thesleffが来日し、データおよび関連情報についての活発な意見交換を行った。また、Thesleffは、第42回歯科基礎医学会総会(於・大阪大学)で本研究の成果をもとに特別講演を行った。なお、Ta/EDAはTNFの一種であることがわかり、そのレセプターDl/EDARの研究から急速な解明が進んでおり、予断を許さない状況となっている。
|