研究課題/領域番号 |
11694278
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀井 俊宏 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (80142305)
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研究分担者 |
丹羽 淳子 近畿大学, 医学部, 助手 (60122082)
三田村 俊秀 大阪大学, 微生物病研究所, 講師 (80268846)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | Plasmodium falciparum / マラリアワクチン / SERA / SE47′タンパク質 / IgG3 / ウガンダ / 血清疫学 / 原虫率 |
研究概要 |
熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)のSERA(Serine Repeat Antigen、120kd)のN-末端17-382アミノ酸残基の領域(SE47'タンパク質)を大腸菌において発現させ、リコンビナント蛋白質による熱帯熱マラリアワクチンの開発をめざしている。ワクチン開発においては自然獲得免疫の解析が重要であるが、マラリア感染あるいは発症に対して防御的に働く免疫応答の主要な標的となるマラリア抗原はこれまで不明であり、このことがワクチン開発の障害となってきた。本研究では、ウガンダのマラリア高度流行地域において、レコンビナントSE47'タンパク質を用いた血清疫学調査、および、血清によるマラリア原虫の増殖阻害を調べ、獲得免疫における抗SE47'抗体の寄与を明らかにした。その結果1)10才以下の児童40人について、マラリア感染により発熱を示すグループと発熱していないグループに分けたところ、抗SE47'-IgG3を持つ児童は全く発熱をしておらず、一方、ネガティブコントロールであるSE50Aタンパク質に対する抗SE50A-IgG1抗体価は発熱と全く相関を示さなかった。2)15才以下の児童の血中のマラリア原虫率と抗SE4'-IgG3抗体価を調査した結果、抗SE47'-IgG3抗体価と血中のマラリア原虫率には、はっきりとした負の相関関係が認められた。一方、抗SE50A-IgG1抗体価は全く相関が得られなかった。3)住民の抗血清を培養マラリア原虫に加え、原虫の増殖阻害効果を測定した結果、抗SE47'-IgG3抗体価の高い血清は低い血清に比べて培養マラリア原虫の増殖を顕著に阻害することが認められた。4)抗血清と組換えタンパク質を混合し抗体を中和し、原虫の増殖阻害効果を測定した結果、SE47'タンパク質によって前処理をした場合にのみ、血清の増殖阻害効果は消失した。この結果は、抗SE47'-IgG3抗体が原虫の殺滅に直接働いていること示している。 以上の結果から、抗SE47'-IgG3抗体が陽性のヒトは、マラリア発症をせず、血中のマラリア原虫率が低い。また、抗SE47'抗体はマラリア原虫の増殖を直接抑制することが明かとなった。これまで不明であった感染防御的に働く免疫グロブリンの標的について、本研究においてそれがSERA抗原(SE47')であることをはじめて明かにした。
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