研究課題/領域番号 |
11694281
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
仲田 義啓 広島大学, 医学部, 教授 (40133152)
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研究分担者 |
軒原 清史 島津総合科学研究所, 主席研究員
安原 義 東京農業大学, 短期大学部, 教授 (90110444)
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キーワード | Maxadilan / 吸血バエ / PACAP / PAC1型受容体 / αヘリックス構造 / VIP / cAMP |
研究概要 |
Maxadilan(Maxa)は研究分担者のレイナーらによってリーシュマニアシス病を媒介する吸血バエ(Lutzomyia longipalpis)の唾液腺から分離・精製・構造決定された61個のアミノ酸からなるペプチド性脈管作動性物質であり、強力でしかも持続的な血管拡張作用を有する。本吸血バエは極めて小さな個体であり、同ハエからMaxaを抽出し研究に用いることは不可能である。Maxaは分子内に1-5位、14-51位の二か所にジスルフィド結合を有する。Maxa固有の受容体は同定されていないが、神経ペプチドのpituitary adenylate cyclase activating polypeptide(PACAP)やvasoactive intestinal peptide(VIP)と一次構造上全く類似性がないにもかかわらず、PACAPの受容体サブタイプのPAC1型受容体に結合する。そこで、Maxaおよび種々のMaxa関連化合物の化学合成を行ない、^<125>I-PAC AP(1-27)のラット脳膜画分への結合抑制を指標に構造活性相関について検討した。その結果、1)N、C両末端アミノ酸が必要であり、2)ジフルフィド結合によるホールディング構造が必要であること3)N末端アミノ酸1-18とC末端アミノ酸38-61を14位と51位でジフルフィド結合した関連ペプチドも結合抑制活性を有することが明らかになり、生理活性ペプチドのアミノ酸の一次構造から推定不可能なリガンド-(受容体)結合-情報伝構活性系の貴重な結果が得られた。さらに、レイナーはMaxaおよび種々のMaxa関連化合物が作動薬として細胞内cAMPを上昇させることを確認し、研究分担者のビクターはMaxaの活性部位をNMRを用いて解析中であり、N、C両末端のαヘリックス構造が結合に必須であることを示唆した。
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