研究課題/領域番号 |
11694282
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
星 正治 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (50099090)
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研究分担者 |
山本 政儀 金沢大学, 理学部, 助教授 (10121295)
遠藤 暁 広島大学, 工学部, 助教授 (90243609)
高田 純 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (00274134)
吉川 勲 長崎大学, 環境科学部, 教授 (80039528)
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キーワード | セミパラチンスク / 核兵器実験 / フォールアウト / 環境放射線 / 土壌汚染 / 外部被曝線量 / 被曝者 |
研究概要 |
旧ソ連の核実験場であるセミパラチンスクでは1949年から1990年までの間に合計467回の核実験が行われた。特に大気中核実験の際には放射能がキノコ雲に含まれ風にのって数100kmも移動した。その際キノコ雲のなかにあった放射能から発生するガンマ線などが地表の人々を被曝させた。またその放射能のちりが降りてきて空気中を漂い外部被曝だけでなく、人々の胃や肺を通して体の中に入り、内部被曝を引き起こした。その放射能はチェルノブイリと違って大量の被曝を人々に与えた。典型的な村としてドロン村では全体で4Gyという報告もある。本研究では放射線の線量評価から人体への影響まで研究することを目的としている。我々の研究により、ドロン村だけでなく、現在人口35万人であるセミパラチンスク市でも外部被曝だけで1Gy近い被曝があったことが分かってきた。これは煉瓦からの被爆線量を熱蛍光法で測定して確認したものである。また土壌を日本に持ち帰り、プルトニウムやセシウムを測定した。この結果はセシウムについては日本と同じ程度で問題なかったが、プルトニウムは最大で日本の10倍程度と高い値を示した。また血液中のリンパ球の染色体異常も検査中である。現在のところ、小核の頻度を30人程度について調べているが、この頻度が0.4Gy程度を示している。リンパ球の代謝は1-2年程度とも言われており、その原因が放射線であるとすると持続的な被曝があることになる。そのため骨中のプルトニウム、セシウム、ウランなどの測定を進めている。その他、歯を持ち帰りESRという手法で放射線量を測定したが、この結果は最大で0.1Gy程度であった。また、甲状腺の異常も、携帯型超音波検診装置を使って検診した約140人程度の検査を済ませたが、結節の頻度は非常に高かった。物理学的な個人被爆線量もカザフサイドにはあるので、それを使った解析をふくめ研究を進めている。
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