研究分担者 |
福井 宣規 九州大学, 医学研究院, 助教授 (60243961)
笹月 健彦 九州大学, 医学研究院, 教授 (50014121)
中村 稔 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (40217906)
松下 祥 熊本大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50167649)
西村 泰治 熊本大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10156119)
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研究概要 |
【研究目的】PBCの病態形成に深く関わっていると考えられる抗ミトコンドリア抗体の対応抗原のT細胞のエピトープを同定し,抗原特異的T細胞による抗原認識様式を解析することより病因分子を明らかにし,この情報をもとに抗原特異的な免疫療法を開発する. 【研究方法・結果】PBC患者および健常者よりヒトPDC-E2 163-176ペプチド特異的T細胞クローンを樹立した.ヒトPDC-E2 163-176ペプチド上のT細胞エピトープと相同性を示す微生物等の外来抗原および自己抗原をコンピューターホモロジーサーチで検索し,合成ペプチドを作成した.T細胞クローンとこれらの合成ペプチドとの反応性を検討し,ペプチド間での交差反応性を解析した.その結果,PDC-E2 163-176反応性T細胞はPBCの病因と深く関係していることが推定される.興味あることにクローン化T細胞のTCRリガンドの認識は多様性に富むが,アナログペプチドとの反応からExDKとEIExDの2つのモチーフが同定された.さらに,それぞれのモチーフサーチにより,T細胞の中に複数の細菌由来のペプチドと反応するT細胞が存在していることが明らかになった. 【共同研究】共同研究者の中村稔博士,笹月健彦博士,福井宣規博士,西村泰治博士,松下祥博士にもそれぞれの担当領域の研究をしていただき,研究を進めている.海外の協力者カリフォルニア大学のGershwin教授,米国エモリー大学(アトランタ)Ansari教授とも共同研究を進め,その打合せおよび米国肝臓学会における成果発表のために海外渡航を行った. 【結論】T細胞のTCRリガンド認識における分子相同性機構が自己免疫疾患の発症や対応抗原の拡がりに関与している可能性が強く示唆された.これらのPDC-E2 163-176反応性T細胞の役割および抗原特異的な免疫療法の開発に向けて,in vitroの胆管障害のアッセイ方法の確立やPBC動物モデルの開発,さらには免疫学的治療戦略として,自己抗原反応性T細胞のアナジーへの誘導,あるいはTh2タイプの細胞への誘導を推進中である.
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