研究課題/領域番号 |
11694289
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福井 宣規 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60243961)
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研究分担者 |
橋本 修 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (50289427)
山本 健 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60274528)
笹月 健彦 国立国際医療センター, 研究所, 所長 (50014121)
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キーワード | 主要組織適合抗原 / T細胞受容体 / 抗原ペプチド / 正と負の選択 / 自己免疫 |
研究概要 |
免疫応答は、生体にとって感染に対する必須の防御機構であり、それはT細胞受容体(TCR)が自己の主要組織適合抗原(MHC)に結合した病原体由来の抗原ペプチドを認識することにより惹起される。病原体の高度な多様性に対応すべく、TCR遺伝子は遺伝子の再構成及びat randomな塩基の挿入、欠失により理論上10^<16>を越える多様性を獲得することが可能である。しかしながら、実際には、末梢で免疫応答に寄与するTCRは、自己抗原ペプチドに反応しない(免疫寛容)、および外来抗原ペプチドを自己MHCに結合した形でのみ認識する(MHC拘束)という特徴を有し高度に選択されている。これは、主に胸腺内T細胞分化過程において、TCR-MHC-自己抗原ペプチド相互作用の結果もたらされる正と負の選択を介してなされる。 臓器特異的自己免疫疾患の感受性がある特定のMHC対立遺伝子と相関することが知られている。この相関のメカニズムとして疾患感受性MHC分子が臓器由来の抗原ペプチドをT細胞に提示することで疾患発症に至るというモデルが一般的である。しかしながら一方、自己免疫を惹起するT細胞は疾患感受性MHC上で分化することより、胸腺でのT細胞レパートリー形成がMHCによる疾患感受性を規定している可能性も考えられるが、末梢での抗原提示と胸腺でのレパートリー形成を分断して解析する事が不可能なため、この可能性につき検討されていない。我々は、1種類の抗原ペプチドのみを結合したMHC分子を発現するtransgenic-knockout mouseのうち、胸腺での発現が著しく低い1系統において、negative selectionが不十分であり、その結果、選択に関わったMHC-ペプチド複合体に対する全身性の自己反応性が惹起され、最終的に臓器特異的自己免疫疾患発症に至ることを示した。このことは、MHCがT細胞レパートリー形成を介して自己免疫病発症に関与する可能性を示唆するもめである。
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