研究課題/領域番号 |
11694291
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
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研究分担者 |
福間 利英 久留米大学, 医学部, 教授 (90125146)
神原 廣二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (20029789)
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キーワード | トリパノソーマ / トランスシアリダーゼ / シャガス病 / シアル酸 / シグナル配列 / 遺伝子ファミリー |
研究概要 |
トランスシアリダーゼ(TS)は、トリパノソーマ属の原虫に特有の酵素である。南アメリカシャガス病の病原体Trypanosoma cruziの哺乳動物血流中でのtrypomastigote型(T型)と媒介昆虫中腸でのepimastigote型(E型)で活性が検出されるが、それらTSの発現量、局在は異なっている。TSファミリーとシアル酸受容体の発現と局在を明らかにし、原虫と宿主の関係における役割を解明し、防御に繋げたいと考えている。 T型TSとE型TSの構造を比較し、両者の間で組換えた遺伝子を作成、T.cruziで発現させるという方法で解析した。T型TSもE型TSも、多くの遺伝子が存在してファミリーを成しているが、両群の間で違いの見られる個所、各々の群内で変異の認められる個所がある。T型TS群では変異が酵素活性部位に集中し、活性のあるものと無いものの比率が1:2程度と推測される。E型TS群では全体に分布して変異が見られたが、N末端シグナル領域には重要な変異が認められた。この部分の違いが蛋白合成と局在に関係し、E型でのTS発現量に大きな影響を与えていることが示された。それに加えて、C末端領域の幾つかの違いも、局在、分泌に影響を与えていることが示唆された。 E型TSでは、基質との結合に関与している残基は比較的保存されている。しかし従来用いてきた発現方法では、TSのレクチンとしての機能を調べられなかった。そこでスケールアップした発現と精製方法に検討を加え、かなりの進歩を見ることが出来た。種々の変異とレクチンとしての機能の研究は継続して行う。 遺伝子発現調節の研究に用いる目的で、レポーターとしてGFPを導入したプラスミドを作成した。T型TS、E型TS、シアル酸受容体であるムチン蛋白の発現に関与すると思われる領域を導入し、発光量を比較することから調節機構を調べることにしている。
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