研究概要 |
平成11年度における実験では,純チタンとα+β合金,β合金など各種チタン合金の機械的強度,鋳造性,レジンとの接着性,切削性またはレーザ一溶接強度などさまざまな内容について実験的検討を行った。機械的強度はチタン合金が純チタンに比べ有意に高い引張強度を示した。弾性率は純チタンとα+β合金が同等な値を示したが,β合金の弾性率は小さかった。全ての合金が純チタンに比べ有意に小さな延性を示した。チタン合金,特にβ合金の鋳造性は純チタンに比べ劣っていた。また,純チタンおよび全てのチタン合金の鋳造性は歯科鋳造用金合金に比較して劣っていた。レジンとの接着性もチタンに対する接着強さがチタン合金に対する接着強さに比べて高かったが,共に歯科鋳造用金合金に比べて有意に高い接着性を示した。切削性に関しては切削に使用する切削工具の切削方法の違いが切削効率に及ぼす影響が大きかった。全般的にチタン合金の切削性は純チタンに比較すると低かった。しかし,歯科鋳造用Co-Cr合金よりはるかに高かった。切削性実験に使用したチタン合金の中で快削性チタン合金(純チタン2種にSn等を添加した合金)の切削性は良かった。また熱伝導性が悪い純チタン,チタン合金ともに切削工具の消耗が激しく切削効率が他の歯科用金合金と比べ劣っていた。レーザー溶接では純チタンに対する実験しか行っていないが,レーザーの電流量を上げた場合とスポット径を小さくした場合にチタンに対する溶解深度は深くなり,適当な溶接条件では母材と同程度の引張り高度(溶接強度)を示した。
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