研究概要 |
1) chHDAC-1,2,3,4のcDNAをクローニングし、それらの特異抗体も作成した。chHDAC-1,2は核に局在し、chHDACー3は細胞質と核の双方に存在する。 2) chHDAC-1,2,4の欠失ホモDT40変異株(ΔchHDAC-1、ΔchHDAC-2、ΔchHDAC-4)は作成した。2DーPAGE上でΔchHDAC-1と4の総蛋白質は野生株のそれと差異がなく、ΔchHDAC-2の2D-PAGEパターンには顕著な変化が認められた。 3) ΔchHDAC-2で著しく増加した蛋白質のアミノ酸配列を決定したところ、IgMH-chainとL-chainに合致した。Western、 FACS分析で、H-chainの分泌型の増大、膜結合型の減少、RNase protection assay, nuclear run-off assayで、H-chain gene転写の増大、H-chain pre-mRNAのμmからμsへのalternative processingの増大が認められた。chHDAC-2はH-chain量をその転写と膜型から分泌型へのスイッチングの2つのステップでコントロールしていることを示している。 4) chHDAC-3は chHDACー1,2 と比べて、C-末端側の約50アミノ酸が欠如し、さらに、N-末端およびC-末端側でのホモロジーも低い。細胞増殖に必須である本酵素に関して、tet-inducible conditional homozygous mutant を作成した。本変異株は tet 添加後24時間でFLAG-tagged HDAC-3が検出出来なくなり、しばらくは正常に増殖するが、以後、増殖速度が遅くなり、死滅する。増殖にはchHDAC-3のN-末端側の約25個のアミノ酸、C-末端側の約30個のアミノ酸、核外輸送シグナル(NES)とデアセチラーゼ活性それ自体が必須である。
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