研究課題
基盤研究(B)
本研究は、国内で研究が遅れているDNAチップを実用化するために、この分野ですでに実績をあげているタルト大学(エストニア)のMetspalu博士と共同でリボソーム蛋白質遺伝子群をターゲットとしたDNAチップを作製し、それを用いて疾患とリボソームとの関連を解明することを目的としている。本年度は、剣持がタルト大学にてMetspalu博士とともに予備的な実験を行い、以下のような結果を得た。[結果]1.リボソームタンパク質遺伝子に特異的な合成DNAを均一にガラススライドに固定した。今回はリボソームの小サブユニットの33個についてのみ行ったが、今後はこの方法で80個すべてをチップ化できると考えられる。2.ヒトがん培養細胞よりハイブリダイゼーション用のプローブを作製する方法について検討した。プローブを標識する効率を上げるために、鋳型としてmRNAを用いた場合とトータルRNAの場合を比較した。トータルRNA用いる場合は、mRNAの場合に較べて、迅速なRNA調製が可能なため、比較的に安定して標識することができた。今後は、定量性を検討して最適化をはかる必要がある。3.チップ上でプローブとのハイブリダイゼーションを行った。今回は反応を長時間(18時間)行ったため、反応液の蒸発が問題となった。今後は、反応チャンバーを開発し、ハイブリダイゼーションが完全に行われるようコントロールする必要がある。4.Metspalu博士らが開発した蛍光検出器を使用して、ハイブリダイゼーションしたプローブのシグナルを測定した。この検出器はもともとプライマー伸長法によるシグナルの測定のために開発されているため、ハイブリダイゼーション用としては充分な感度が得られなかった。今後は、プローブの量を増やす、標識の効率を上げる等の改良が必要と思われる。
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