新しい生理機能画像法として、二量子フィルターNMR法にスペクトロスコピック画像法を適用し、生体内の「構造化」された水分子(結合水)を選択的に画像化することを目的とした国際共同研究を行った。 平成11年度は、まず、ア)二量子フィルターNMR法とスペクトロスコピック画像法とを組み合わせることにより、生体内の「構造化」された水分子を選択的に画像化できる多量子磁気共鳴画像法を開発した。特に、スライス選択パルスの導入、化学シフト画像については、学会誌に報告を行った。また、イ)種々の生体組織に適用し基礎データを蓄積した。具体的には、(1)アキレス腱組織の断裂後の変性・修復過程の分子環境変化の画像化について学会誌に報告した。現在、関節軟骨組織の荷重分布と軟骨組織の結合水の分布についてT_1・T_2値の分布と対照させつつデータを収集しつつある。(2)軟骨・腱組織の応力とその大きさの画像化を行うために、荷重装置を制作し、装置が磁場内で測定に耐えうることを確認した。現在、荷重時の変形と、それに対応した二量子緩和パラメータの変化を収集しつつある。基礎データが予定よりも早く得られてきたので、ウ)二量子緩和パラメータと、結合水の配向状態、さらにはコラーゲン繊維の応力変形を解析するための理論的研究を開始しつつある。
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