研究課題/領域番号 |
11694309
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
久米 晃啓 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10264293)
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研究分担者 |
水上 浩明 自治医科大学, 医学部, 助手 (20311938)
花園 豊 自治医科大学, 医学部, 講師 (70251246)
小澤 敬也 自治医科大学, 医学部, 教授 (30137707)
岡田 尚巳 自治医科大学, 医学部, 助手 (00326828)
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キーワード | 遺伝子治療 / 造血幹細胞 / 慢性肉芽腫症 / 選択的増幅遺伝子 |
研究概要 |
造血幹細胞は自己複製能と全ての成熟血球系列へと分化しうる多分化能をもつ細胞と定義され、遺伝子治療の重要な標的組織のひとつであるが、これに効率よく遺伝子を導入するための技術は確立しておらず、幹細胞遺伝子治療臨床研究においても明らかな効果は得られていない。唯一、サイトカイン受容体コモンガンマ鎖欠損によるX連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)の遺伝子治療が成功を収めたが、これは遺伝子導入細胞が著しい増殖優位性を獲得するためである。従って、治療用遺伝子が増殖優位性をもたない他の疾患、たとえばX連鎖慢性肉芽腫症(X-CGD)の遺伝子治療においては、同時に増殖優位性を賦与することで遺伝子導入効率の低さが克服できると考えられる。このような観点から、我々はステロイド化合物など薬剤投与によって遺伝子導入細胞を体内増幅する「選択的増幅遺伝子」の開発を進めている。今年度はタモキシフェン依存性増殖能を賦与する選択的増幅遺伝子導入によりマウスの造血細胞がin vivo増幅できるかを検討した。選択的増幅遺伝子とEGFPマーカー遺伝子を同時に発現するバイシストロニック・レトロウイルスベクターをマウス骨髄細胞に感染させ、致死量放射線照射したレシピエントに移植後タモキシフェンを投与したところ、投与群末梢血中の遺伝子導入細胞の割合は有意に上昇し、対照群より有意に高値を示した。2次移植のレシピエントにタモキシフェンを投与した場合も遺伝子導入細胞の割合は有意に上昇し、対照群より高値を示した。従って、選択的増幅遺伝子を用いて遺伝子導入細胞が体内増幅可能であることが示された。以上の結果を米国遺伝子治療学会・米国血液学会で発表し、各国研究者との意見交換を行った。
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