研究課題/領域番号 |
11694311
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
岡田 保典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00115221)
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研究分担者 |
池田 栄二 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30232177)
上田 善道 金沢医科大学, 病理学第2, 助教授 (50271375)
善岡 克次 金沢大学, がん研究所・細胞制御部門, 教授 (60200937)
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キーワード | マトリックスメタロプロテアーゼ / 膜型MMP / 遺伝子発見 / HMG / 浸潤・転移 / 遺伝子改変マウス / 動脈硬化 |
研究概要 |
膜型マトリックスメタロプロテアーゼ(MTI-MMP)は、潜在型MMP-2を活性化するとともに本酵素自身が線維性コラーゲンやゼラチンに対して分解活性を有し、ヒト癌細胞の浸潤・転移をはじめとする多くの疾患における組織破壊に関わっている。一方、HMGI-CはDNAの立体構造変化を通して転写因子の作用を助ける転写構造構築因子であり、悪性形質転換に伴って過剰発現されることが知られている。本研究課題では、HMGI-CのMTI-MMP遺伝子発現への関わりを調べるとともに、MTI-MMPや同様な活性をもつMMPの病的組織での機能解析を行った。本年度の研究成果は、以下の3点にまとめられる。 (1).ヒトグリオーマの髄膜播種症例群では、非播種群に比較して、MT1-MMP発現と潜在型MMP-2活性化率の有意な上昇があり、インヒビターであるTIMP-2低下が髄膜播種の重要因子として作用していた。現在、グリオーマでのHMGI-Cの発現を検討中であり、MTI-MMP発現との関連をさらに解析している。 (2).MT1-MMPに対するモノクローナル抗体を作成し、MTI-MMPタンパクの産生を高感度で検出できるtwo-step sandwich enzyme immunoassayを開発した。本アッセイを用いて、頭頚部癌組織では非癌部よりMTl-MMPの産生が高いことを示すとともに、肺癌では癌組織での高値のみならずリンパ節転移陽性群での産生が陰性群に比較して有意に高いことを証明した。 (3).MT1-MMPと同様なコラーゲン分解酵素であるMMP-1をマクロファージで特異的に発現する遺伝子導入マウスを作成し、ApoEノックアウトマウスと交配し、高脂肪食負荷による動脈硬化巣の変化を観察した。その結果、予想に反して、MMP-1遺伝子発現は大動脈の粥状硬化症を軽減した。
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