2000 年度実績報告書

マラリア原虫の遺伝的多様性に関する分子生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号	11694323
研究機関	大阪工業大学
研究代表者	田辺和裄大阪工業大学, 工学部, 教授 (40047410)
研究分担者	木村政継大阪市立大学, 医学部, 助手 (60195378) 神原廣二長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (20029789)
キーワード	マラリア / Plasmodium / 遺伝子 / 多様性 / MSP-1 / 多型 / PCR
研究概要	1.濾紙血液からのマラリア原虫DNA回収とPCRによる長鎖DNAの増幅マラリア流行地におけるマラリア原虫の遺伝的多様性を解析するためにはマラリア患者からの簡便な採血法が望ましい。この点、濾紙採血は優れているが、濾紙採血サンプルからのマラリア原虫DNAの回収は回収率及びDNAの断片化という点で、フィールドにおけるマラリア原虫集団の遺伝的解析には不十分であった。そこで、濾紙血液から高い回収率で、しかも長鎖DNAを回収でき、その後のPCR増幅においても遺伝子全長を一挙に増幅できるような技法を探索した。数々の試験的検討の後、(1)濾紙はペーパークロマト用のもので、(2)DNA回収は、これまで用いられてきた煮沸法を改めて、シリカゲルによる濾過法にすることで、回収率及びPCRの感度において非常に良い成績を得た。この方法を用いてバヌアツで採取された熱帯熱マラリア患者からの濾紙血液より原虫DNAを回収し、熱帯熱マラリア原虫メロゾイト表面タンパク質-1(PFMSP-1)の遺伝子全長、約5kbを高感度で増幅することに成功した。この方法により、MSP-1のような多型遺伝子における多型部位間の連鎖不平衡の解析がより直接的に解析することが可能となった。 2.三日熱マラリア原虫MSP-1遺伝子内組換えの解析三日熱マラリア原虫のメロゾイト表面タンパク質-1(PvMSP-1)はワクチン候補であるが、熱帯熱マラリア原虫のPfMSP-1に比べて、その多型の程度はまだ詳しく解析されていない。そこで、タイ及びブラジル分離の野外株17個についてPvMSP-1遺伝子のICB8-3'末端領域1.8kbをPCR増幅し、株間の変異を解析した。その結果、変異領域における塩基の置換は基本的に二型で、対立遺伝子間の遺伝子内組換えにより多型が発生しているが、3'側末端部では極めてよく保全されていることが明らかとなった。後者の知見はワクチン開発に取り重要な情報を提供する。

研究成果

(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] N.Sakihama,T.Mitamura K.Tanabe et al.: "Long PCR amplification of Plasmodium falciparum DNA extracted from filter paper blots"Experimental Parasitology. (in press).
[文献書誌] C.Putaporntip,S.Jongwutiwes H.Kanbara and K.Tanabe: "Intragenic recombination in the 3' portion of the merozoite surface protein 1 gene of Plasmodium vivax"Molecular and Biochemical Parasitology. 109. 111-120 (2000)
[文献書誌] D.Conway,D.R.Cavaaugh,K.Tanabe et al: "A principal target of human immunity to malaria identified by moelcular population genetic and immunological analyses"Nature Medicine. 6. 689-692 (2000)
[文献書誌] 田辺和裄,先濱直子ら: "熱帯熱マラリア原虫表面抗原Msp-1多型における選択と遺伝的浮動"Parasitology Internatinal. 49. 49 (2000)
[文献書誌] T.Matsuo,N.Sakihama K.Tanabe and M.Kawabata: "Diversity of merozoite surface protein-1 (MSP-1) in the Solomon Iskands"Parasitology Internatinal. 49. 90 (2000)
[文献書誌] 田辺和裄: "マラリア原虫のゲノムと抗原"Progress in Medicine. (in press).
[文献書誌] 田辺和裄ら: "マラリア学ラボマニュアル"菜根出版. 290 (2000)

2000 年度 実績報告書

マラリア原虫の遺伝的多様性に関する分子生物学的研究

研究代表者

田辺 和裄 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40047410)

研究成果

[文献書誌] N.Sakihama,T.Mitamura K.Tanabe et al.: "Long PCR amplification of Plasmodium falciparum DNA extracted from filter paper blots"Experimental Parasitology. (in press).

[文献書誌] C.Putaporntip,S.Jongwutiwes H.Kanbara and K.Tanabe: "Intragenic recombination in the 3' portion of the merozoite surface protein 1 gene of Plasmodium vivax"Molecular and Biochemical Parasitology. 109. 111-120 (2000)

[文献書誌] D.Conway,D.R.Cavaaugh,K.Tanabe et al: "A principal target of human immunity to malaria identified by moelcular population genetic and immunological analyses"Nature Medicine. 6. 689-692 (2000)

[文献書誌] 田辺和裄,先濱直子 ら: "熱帯熱マラリア原虫表面抗原Msp-1多型における選択と遺伝的浮動"Parasitology Internatinal. 49. 49 (2000)

[文献書誌] T.Matsuo,N.Sakihama K.Tanabe and M.Kawabata: "Diversity of merozoite surface protein-1 (MSP-1) in the Solomon Iskands"Parasitology Internatinal. 49. 90 (2000)

[文献書誌] 田辺和裄: "マラリア原虫のゲノムと抗原"Progress in Medicine. (in press).

[文献書誌] 田辺和裄 ら: "マラリア学ラボマニュアル"菜根出版. 290 (2000)

2000 年度実績報告書

田辺和裄大阪工業大学, 工学部, 教授 (40047410)

[文献書誌] 田辺和裄,先濱直子ら: "熱帯熱マラリア原虫表面抗原Msp-1多型における選択と遺伝的浮動"Parasitology Internatinal. 49. 49 (2000)

[文献書誌] 田辺和裄ら: "マラリア学ラボマニュアル"菜根出版. 290 (2000)