研究概要 |
ITAMに含まれるチロシン残基がリン酸化されることがBCRシグナルを展開するうえで必須であり、なおかつ細胞内タンパク質のチロシンリン酸化がBCR刺激後番最初に検出できる生化学的反応という事実に基づき、1990年代チロシンキナーゼ群(PTKs)のBCRシグナノレにおける役割が活発に検討されてきた。特にLyn, Syk, BtkのBCRシグナルにおける重要性、およびLyn, Syk, Btkの活性化機構が明らかにされてきた。 このような状況のもとで、更なるBCRシグナルの研究は分子レベルの研究にとどまらず細胞レベル・個体レベルでの研究が互いに有機的に連関して研究を行う必要があり、又、これら有機的・学術的な研究なしには国際的競争力を有しないと言っても過言ではない。本国際共同研究1は分子レベルは黒崎・Chanのチームが、細胞レベルは黒崎・Clarkのチームが、個体レベルはClark・Chanのチームというようにそれぞれの強力かつ相補的expertiseを基に、黒崎・ChanはBLNKの分子解析を、黒崎・ClarkはBam32というアダプター分子に的を絞って共同研究を行っている。 BLNKはSykによりチロシンリン酸化されるが、5ヶ所のリン酸化サイトが協調的に働いて始めて、PLC-γ2を結合し、活性化できるようになること。又、BLNKがGEM分画にリクルートされることが必須であるが、考えられているようなGrb2/Gadsに結合してはじめてリクルートするのではないことを明らかにすることができた。 Bam32のDT40欠損細胞を樹立し、その解析を行った結果、PLC-γ2/カルシウム経路の減弱が認められ、この経路のmodulationに必須であることを明らかにすることができた。
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