研究課題/領域番号 |
11694328
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 兵庫大学 |
研究代表者 |
鬼頭 昭三 兵庫大学, 附属研究所, 教授 (00010140)
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研究分担者 |
本澤 真弓 兵庫大学, 短期大学部・食物栄養学科, 教授 (00132374)
野村 靖幸 北海道大学, 薬学部, 教授 (00034041)
遠山 正彌 大阪大学, 医学部, 教授 (40028593)
新郷 明子 兵庫大学, 附属研究所, 講師 (50309499)
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キーワード | 海馬 / 不死化 / H19-7細胞 / IGF-1 / エストロゲン / tamoxifen / ICI182、780 |
研究概要 |
本年度は、ラット胎児海馬ニューロンを不死化させた細胞(以下H19-7細胞と呼ぶ)を用いて実験を行った。まず、H19-7を神経細胞に分化させるために次の方法を行った。functional SV 40 T antigenの発現を除去するために培養温度を39℃に上げてN2 supplementとbFGFを含んだ低濃度血清の培地で2日間培養し、神経突起を伸長した分化神経細胞を得た。この細胞を用いてin vivoで検証された従来のデータがどこまでin vitroで確認できるかをみることが、本年度の研究の主要テーマである。神経細胞様に分化したH19-7細胞にエストロゲン10^<-9>Mを加えることにより、IGF-1 mRNAの発現が優位に増強することがRNase protection assayによって認められた。このエストロゲンによるIGF-1発現の誘導は、同時にニコチンを加えることによって抑えられた。エストロゲンによるIGF-1の誘導は核内エストロゲン受容体のpartial antagonistであるtamoxifenの添加によっては抑えられず、むしろIGF-1 mRNAの誘導は増強された。これに対してtamoxifenに代わってfull antagonistであるICI182、780を加えると、エストロゲンによるIGF-1 mRNAの誘導は完全に抑えられ、コントロール値よりも低い値を示した。 一方では、H19-7細胞を神経細胞に分化させた細胞にエストロゲンを加えることによりエストロゲンの核内受容体(ER)mRNA発現に与える影響を、RNase protection assayによって観察した。エストロゲン10^<-9>Mの単独添加はエストロゲン核内受容体mRNAの発現を優位に増強させニコチン10^<-6>Mの単独添加は逆にERの発現を低下させた。即ちエストロゲンはERに対してup regulationを示すことがわかった。このエストロゲンによるERのup regulationはtamoxifenによっては影響を受けず、ICI182、780によって阻止された。 又、H19-7細胞を神経細胞に分化させた細胞にエストロゲンを加えることにより、一過性の細胞内Caイオン濃度の上昇が起こることをfura2 fluorometryによって確認した。
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