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2000 年度 実績報告書

中枢神経細胞におけるイオン性シグナリングの空間・動態解析

研究課題

研究課題/領域番号 11694332
研究機関岡崎国立共同研究機構

研究代表者

井本 敬二  岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (00176512)

研究分担者 若森 実  岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (50222401)
中井 淳一  岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (80237198)
森 泰生  岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (80212265)
キーワードカルシウムチャネル / 小脳失調症 / 変異マウス / TRPチャネル / 神経細胞死 / グルタミン酸受容体チャネル / ナトリウムチャネル
研究概要

本研究では、中枢神経系細胞の局所イオンシグナリング動態を、変異マウスと野生型マウス間で比較する事により、神経細胞に備わる情報統合機構を明らかにする事を目的とした。具体的には、電位依存性チャネルおよび受容体活性型カルシウム透過性カチオンチャネルに関する分子生物学的・電気生理学的研究を行い、カルシウムチャネル変異が小脳疾患を起こす機序の一部を明らかにし、また受容体活性型カルシウム透過性カチオンチャネルが、神経系ばかりではなく幅広く分布し、細胞の機能調節に関与している事を明らかにした。
ローリングマウス・ナゴヤのP/Q型電位依存性カルシウムチャネル遺伝子の解析を行い、正電荷を持つアミノ酸であるアルギニンがグリシンに置換する変異をリピートIIIの電位センサー部位に同定した。実際ローリングマウス・ナゴヤでは、小脳プルキンエ細胞においてカルシウムチャネル電流が減少しているばかりではなく、活性化の電位依存性が正の方向にシフトしており、この事がカルシウムの流入を更に減少させていると考えられた。これらの結果は、カルシウムの流入阻害が正常な神経回路の発達と機能を損なう事を示したものである。
代謝型受容体の活性化に引き続き生じる細胞外からのカルシウム流入を担うイオンチャネルの一つであるTRPチャネルの分子生物学的解析を行った。cDNAクローニングを行い組換え発現系を用いて機能解析を行ったTRP7は、活性化刺激なしにでも電流を流しており、細胞内ストアからのCa2+放出を来さない程度の弱い刺激でも電流が惹起された。したがってTRP7は、容量性Ca2+電流を担うチャネルであるとの考え方はあてはまらず、むしろTRPは従来非選択性カチオンチャネルと称されてきたイオンチャネルと機能的に近い関係にあることが明らかとなった。TRPチャネルファミリーのイオンチャネルは、シナプス入力の強さによりある程度持続的な脱分極をおこし神経細胞の興奮性を高める働きをしていることが考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Yamada H,Wakamori M,Hara Y,Takahashi Y,Konishi K,Imoto K & Mori Y: "Spontaneous single-channel activity of neuronal TRP5 channel recombinantly expressed in HEK293 cells."Neurosci Lett. 285. 111-114 (2000)

  • [文献書誌] Mori Y,Wakamori M,Oda Si,Fletcher CF,Sekiguchi N,Mori E,Copeland NG,Jenkins NA,Matsushita K,Matsuyama Z,& Imoto K: "Reduced voltage sensitivity of activation of P/Q-type Ca^<2+> channels is associated with the ataxic mouse mutation rolling Nagoya."J Neurosci. 20. 5654-5662 (2000)

  • [文献書誌] Nishimura S,Iizuka M,Akiba I,akamori M,Imoto K,& Barsoumian EL: "Stable expression of human homomeric and heteromeric AMPA receptor subunits in HEK293 cells."Receptors Channels. 7. 139-150 (2000)

  • [文献書誌] Iizuka M,Nishimura S,Wakamori M,Akiba I,Imoto K,& Barsoumian EL: "The lethal expression of the GluR2flip/GluR4flip AMPA receptor in HEK293 cells."Eur J Neurosci. 12. 3900-3908 (2000)

  • [文献書誌] Yakehiro M,Yuki T,Yamaoka K,Furue T,Mori Y,Imoto K & Seyama I: "An analysis of the variations in potency of grayanotoxin analogs in modifying frog sodium channels of differing subtypes."Mol Pharmacol. 58. 692-700 (2000)

  • [文献書誌] Yamazaki Y,Yagi T,Ozaki T & Imoto K: "In vivo gene transfer to mouse spermatogenic cells using green fluorescent protein as a marker."J Exp Zool. 286. 212-218 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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