研究課題
基盤研究(B)
本研究は発がんプロモーター作用を構成する二つの要となる事象、「ギャップ結合細胞間連絡(Gap junction intercellular communication:GJIC)の阻害」と「アポトーシスの抑制」の意義並びにそれらの相互関連性について調べることを目的としてきた。本研究の中心的成果は、エピジェネティック発がんモデル物質としての過酸化水素のGJIC阻害とアポトーシス誘導がMAP kinase系のGSHの減少とリンクしていることの示唆を得て、成果を投稿段階まで達したことである。併せて、この研究課題では、in vitro系では(1)同じくエピジェネティック発がんモデル物質のペンタクロロフェノールをとりあげ、アポトーシス誘導遺伝子v-mycを導入したラット肝培養細胞株(WB-myc細胞)を標的とした実験系、in vivo系では(2)p53欠失マウスにおけるアポトーシス阻害下でのギャップ結合の検討、(3)GJIC関連遺伝子のknockout(KO)動物(コネクシン(Cx)32-KOマウス、Cx43-KOマウスなど)を用いたアポトーシス研究などが検討され、逐次in vivoならびにin vitroの実験系の樹立、当該動物の利便を図り、この領域での研究基盤を飛躍的に発展させた。尚、このプロジェクトから派生した独自研究で、Cx32遺伝子欠失マウスでは、造血幹細胞数が野生型に比べて少なく、このものを受け手とした脾コロニーアッセイでは、同じ野生型の骨髄細胞から形成される脾コロニーの数が少ないことなど、Cx32の骨髄における機能発現の可能性を初めて見いだされた。
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