研究課題/領域番号 |
11694335
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
矢倉 英隆 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 参事研究員 (60166486)
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研究分担者 |
水野 一也 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00219643)
片桐 達雄 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主事研究員 (00233742)
荻本 真美 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主事研究員 (80158609)
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キーワード | チロシンホスファターゼ / アダプター分子 / CD45 / SHP-1 / BLNK / SLP-65 / SLP-76 / Lyn |
研究概要 |
本研究では、チロシンホスファターゼとアダプター分子を介するリンパ球シグナルの制御についての理解を深めることを目標にしている。今年度の解析から、以下の成果を得た。 (1)CD45によるSrc型チロシンキナーゼの制御:未熟B細胞WEHI-231におけるCD45の基質はLynである。CD45は、定常状態においてLynのネガティブ制御部位のみならずポジティブ制御部位の脱リン酸化を行い、不活化している。しかし、B細胞抗原レセプター(BCR)刺激後にはLynの両制御部位のリン酸化が亢進して活性化されることから、BCR刺激に一致してCD45の抑制効果が解除される機構の存在が示唆された。成熟B細胞BAL-17では、CD45の基質はFynであり、定常状態では両制御部位の脱リン酸化により不活化され、BCR刺激がCD45の抑制効果を解除することが明らかになった。ネガティブ制御部位を脱リン酸化することによりチロシンキナーゼを活性化するのがCD45の役割とされてきたが、新たなモデルの構築が求められる。現在、CD45の抑制効果が解除される機構について解析している。 (2)CD45によるMAPKの制御:CD45はWEHI-231とBAL-17細胞において異なる様式でMAPKを制御すること、MAPKのメンバー(ERK、JNK、p38)特異的な制御を行うことが明らかになった。さらに、BAL-17で見られるBCRによる細胞増殖抑制は、JNKとp38との共同作用により誘導され、CD45はこの過程に不可欠な酵素であることが明らかになった。 (3)SHP-1の基質の同定とリンパ球シグナルの制御:SHP-1のB細胞における基質をトラッピング法により解析した。その結果、B細胞アダプター蛋白BLNKがそのひとつであること、さらに、SHP-1とBLNKのシグナルは、MAPKの中でJNKを選択的に抑制し、,アポトーシスを制御していることが明らかになった。現在、2つのアダプター蛋白(BLNKとSLP-76)の役割分担について解析している。
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