研究課題/領域番号 |
11694337
|
研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
砂川 賢二 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 部長 (50163043)
|
研究分担者 |
佐藤 隆幸 高知医科大学, 生理学第二, 教授 (90205930)
杉町 勝 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室長 (40250261)
|
キーワード | 動脈圧受容器反射 / バイオニック / シャイ・ドレーガー症候群 / フィードバックシステム |
研究概要 |
動脈圧反射は、さまざまな外乱による脳の潅流圧変化を抑制する機構としてはたらく極めて重要なフィードバック制御システムである。時々刻々と変化する動脈圧は、頚動脈洞や大動脈弓の圧受容器で検知され、圧受容器神経活動として血管運動中枢にフィードバックされる。血管運動中枢はこの圧受容器神経活動に応じて、交感神経活動を変化させる。その結果、血管の収縮・弛緩が生じ、外乱の影響が抑制されることになる。 シャイ・ドレーガー症候群では、延髄を中心とした神経変性のため血管運動中枢が冒される。そのため、動脈圧反射失調となり重度の起立性低血圧になる。そこで、圧センサー→人工的血管運動中枢→電気刺激装置→交感神経刺激装置→交感神経からなるフィードバックシステムを試作開発した。 シャイ・ドレーガー症候群様の動脈圧反射失調を呈するラットでは、head-up tiltにより、数秒以内に動脈圧が60mmHgまで低下するが、本装置を埋め込んだラットでは、head-up tiltによる動脈圧低下を検知した人工的血管運動中枢から、自動的に電気刺激の頻度が増加し、動脈圧の低下が防止された。さらに、その機能的ダイナミクスは、生体固有の動脈圧反射と類似していた。すなわち、本装置が、生理的な血管運動中枢の機能を代行できたことになる。 以上のようなことから、シャイ・ドレーガー症候群の起立性低血圧を克服するバイオニック動脈圧反射装置の開発は可能であると結論づけられる。
|