研究課題/領域番号 |
11695004
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
木下 豊房 千葉大学, 文学部, 教授 (40009692)
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研究分担者 |
天野 昌功 千葉大学, 法経学部, 教授 (80092617)
岩田 昌征 千葉大学, 法経学部, 教授 (60125284)
前田 彰一 千葉大学, 文学部, 教授 (70023596)
小森 光夫 北海道大学, 法学研究科, 教授 (70110286)
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キーワード | 多文化社会 / 多文化主義 / ポストソビエト / 倫理 / グローバリゼーション / セルゲイ・セレブリャヌイ / アヌ・ビロベーレ / ラスロ・フニャディ |
研究概要 |
今年度の研究の主要なテーマは多文化社会における倫理の問題であった。昨年度、カナダにおける多文化主義の社会的実験、言語文化のメンタリテイに潜在する衝突を検証してきた後で、本年度は、75年間にわたって、本来的な多文化社会を中央集権的に統合しようとしてきたソ連が崩壊した後に、ソ連圏での倫理の問題がどのような様相で立ち現れているかを検証することになった。 2001年12月14日〜15日に千葉大学けやき会館および人文社会科学系研究棟で開催された国際会議「多文化社会における倫理の構築」において、ロシアの比較思想の研究者セルゲイ・セレブリャヌイは「ポストソビエトのロシアにおける倫理の問題」と題して、主として政治における倫理を論じた。元来、無神論的で政治権力的である共産党政権において、政治の倫理は無縁のものであり、92年のソ連崩壊後も事実上、旧党エリートによって政治、経済機構を恣意的に牛耳られてきたロシアの政治倫理の頽廃が報告され、いまようやく倫理の問題が提起される段階であることが明らかにされた。 エストニアの経済学者アヌ・ビロベーレは経済倫理を決定しているポストソビエト後の個人的、組織的要因について、統計学的資料を駆使して説明した。 ハンガリーの言語学者ラスロ・フニャディは言語文化のグローバリゼーションと多文化主義の関係について論じ、多言語の存在を前提とする多文化主義に対して政治的背景をもつグローバリゼーションは逆行的であり、支配的にはなりえないと、旧ソ連圏の場合や現在進行中の英語の優勢現象を例にとり、論証した。会議には100名近くの内外の研究者、留学生が参加し、活発な質疑応答、議論が展開された。 そのほか研究代表者、分担者は個別研究においてロシアやドイツでの国際学会に参加し、また外来文化と伝統的民衆文化の接触の問題に関して、沖縄での資料調査をおこなった。
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