平成11年度国際学術研究(大学間協力研究計画)[=基盤研究(C)(2)]の課題にもとづき、少数ロマンス語の現地調査を導入することにより、従来の主要言語中心のロマンス言語学を修正することを目標に、本年度も昨年度に引き続き以下の調査研究(期間9月3日〜10月5日)を実地した。 1.ローマ大学においてDe Mauro教授とともに"少数ロマンス語"に関する国際シンポジュウム('97.於早稲田大学)の論文集刊行についての最終打合せ、および第23回国際ロマンス言語学会(於サラマンカ大学)におけるロマンス語の合成語に関する研究発表のための準備を行った。 2.少数ロマンス語としてのサルジニア語の現地調査を、本年度はことに語形成(合成を中心とする)の具体例(たとえば「キツツキ」の名称の地域的差異など)の採集に努めた。さらに統辞論のレベルにおける今後の調査計画を練った。なお毎回滞在するヌーオロ市では有力日刊紙の文化欄(2001年9月18日)にて、"サルジニア語を愛する日本人"として紹介され、そのなかで少数語の言語統一のために文字言語としてログドレーゼ方言を採用し、音声言語としては地域変種を尊重する立場を表明する機会を与えられた。 3.第23回国際ロマンス言語学会(9月24〜9月30日、於サラマンカ大学)において"合成:ロマンス語におげる拡張傾向"と題する研究発表を行い、ロマンス語のなかの合成語の役割の拡大を評価すべきことを論じた。 4.なお、スペイン滞在中、カタルニア語の語形成についても可能な限り、合成語の具体例の採集を行った。
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