3カ年間を通じて、平成5〜7年度国際学術研究(大学間協力計画)いらいの研究課題である"少数ロマンス語の現地調査"を継続発展させながら、伝統的に主要言語に片寄りがちなロマンス言語学をより充実させることを目標とした。 年度別の研究実績(様式8)は報告済みであるが、ことに研究代表者は少数ロマンス語のうちラテン語性をより多く保持するサルジニア語の現地調査の継続に努め、その成果としてサルジニアの諸方言(統一語は存在しない)のうち古風なタイプとして知られるヌーオロ方言の基礎語彙集(ローマ字表記の日本語およびイタリア語と対照した)を2000年7月にサルジニアの州都カリアリ市のトルレ社から出版することができた。同年8月初め、この出版を記念して島の北東部に位置するブルネッラ市の2000年度ミルト酒祭にてミルト金賞が贈られたことを報告したい。 期間中、主要言語中心ではなく、少数ロマンス語を含めたロマンス言語学の確立を主張し、機会あるごとに国際学会に研究発表参加した。とくにイタリアでは少数言語をなす諸方言の研究は、ロマンス語圏の分化に貢献したさまざまな特質が、実はイタリア半島内に集約的に見出されるという興味深い課題について2000年10月研究発表(於フィレンツェ大学)した。 研究代表者の従来からの研究課題である語形成に関しても、ロマンス諸言語間で合成語を比較する研究発表を2001年9月(於サラマンカ大学)行なうことができた。 なお、ローマ大学文学部T.デ・マウロ教授は意見交換を通じて絶えず研究代表者の海外研究協力者であったことも報告しておきたい。
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