研究機関中に日本側の研究者二人がイギリスへ行って、イギリス研究者と一緒にワークショップを開いて、意見交換した。Patrick SeydとPaul Whiteleyはヨーロッパの党員研究の最前線の研究者で、大変勉強になった。第二年にイギリスの研究者を日本に来て、ワークショップを実施した。日本公共選択学会に発表してもらった。自民党の代議士と民主党の代議士を面接したりして、講演会活動に参加した。日本政治の特徴だけではなく、イギリスとの共通点を発見した。 第三年に研究業績をまとめた。イギリスにおける選挙活動の多い、高度参加者の分析もできたし、日本の1996年総選挙における投票率の分析もできた。研究は日本とイギリスからはじめたが、後で多くなった。日本と似ている小選挙区制と比例代表制を組む並立制を採択しているイタリアも分析して、日本・イギリス・インド・カナダの研究もできた。イギリスは小選挙区制の代表的な国で、日本は中選挙区制の代表的な国で、カナダとインドは小選挙区制の例外的な国とされてきたが、共通点を多く発見した。均衡状態はどこでもM+1に近いと思われる。 方法論としては、統計学分析で終わらずに、物理のカオス理論に使っているリターンマップも、シミュレーションも利用できた。主の結論としては、ひとつ、政党から提供している選択肢が有権者の政治活動に影響を及ばすこと。そして、生態的な分析と動態的な分析が違う結果を生むことであった。特に物理の「動態的均衡状態」が社会科学に適用できることを実感した。
|