研究概要 |
今年度は富山大学から3名(坂井、川田、升方)が1週間モスクワ物理工科大学を、モスクワ物理工科大学から3名(Bulanov,Bobrova,Esirkepov)が富山大学を1ヶ月間相互訪問し以下の研究をおこなった。 1)電子陽電子プラズマでの磁気再結合の理論とシミュレーション:無衝突電子陽電子プラズマでの磁気再結合の物理過程を明らかにするため、Force-free型の磁場構造での無衝突Tearing不安定の理論を構築して、粒子コードによるシミュレーションと比較して良い結果の一致を得た。次に非線形発展過程で磁場のエネルギーの約70%がプラズマの加熱、高エネルギー粒子加速に変換されることを明らかにし、無衝突磁気再結合の機構がこれまで提唱されていた機構と異なる新しい機構によることを発見した。これは、2次元的に発生する静電気的波動により電流を運ぶ電子が捕捉されるため、突然電流が遮断され、磁場エネルギーがプラズマの加熱に変換される。この結果は2000年3月1日にMagnetic Reconnection 2000国際会議(於東京大学)で発表された。 2)レーザプラズマ相互作用時の磁場形成の理論及びシミュレーション:レーザを固体に照射したときにプラズマが発生し、強い磁場が発生することが知られている。この機構を明らかにするため、レーザで加速された電子とその電子電流を打ち消す電子流を考えるとWeibel型の不安定が発生することが理論及び2次元の粒子シミュレーションで明らかになっていた。我々は3次元粒子シミュレーションにより磁場の発生過程を調べ、これまで2次元で得られた結果よりも早く生成磁場が散逸することを明らかにした。この理由は、電流方向にできる棒状の電流がつくる磁場の再結合が生じ磁場の散逸が促進される。この結果は2000年3月1日にMagnetic Reconnection 2000国際会議(於東京大学)で発表された。
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