研究概要 |
今年度はモスクワ物理工科大学から3名(Bulanov,Bobrova,Naumova)が富山大学を2ヵ月間訪問して以下の共同研究を行った。 1)宇宙プラズマでの磁気再結合: 宇宙プラズマの多くは無衝突プラズマであり、そのような状況で磁気再結合を引き起こす機構は現在でも解明されていない。我々は、Force-freeの磁場を持つプラズマ考え、2次元の粒子コードシミュレーションにより磁気再結合の機構を調べた。その結果、これまで見落とされていた新しい磁気再結合をひきおこす物理過程を発見した。それは、Buneman不安定により生じる2次元的電場が電流電子を補足して電気抵抗を起こし、磁気再結合を促進することが明らかになった。また、磁場のエネルギーの90%がプラズマの熱エネルギーに変換されることも明らかになり、太陽フレアへの応用も視野にいれている。 2)レーザプラズマ相互作用: レーザと固体の相互作用でつくられる相対論的電子ビームの非線形力学過程を2次元及び3次元粒子コードで調べた。最初に空間的に一様にある電子ビームは、対向不安定により多くのフィラメント状のビームに分かれ、その後フィラメント状のビームが合体しより大きなビームに成長する。この過程で電子ビームのつくる磁場が散逸して、ビームが減衰することが明らかになった。3次元効果の特徴は、磁場の散逸が3次元的磁気再結合を伴い、極めて速い時間で電子ビームが減衰することが明らかになった。 3)レーザと電子陽電子プラズマの相互作用: レーザと電子陽電子プラズマの相互作用が粒子コードシミュレーションで調べられ、レーザビームの自己収縮およびそれに伴うプラズマ粒子の加速が明らかになった。
|